人は生きて来た中で培(つちか)った、それぞれの世界観を持ちます。
それは絶対的なもので、どのような世界観を持つかで人生が変わります。思い込みや信じているものは不思議なほどに実現していきます。(後述しますが引き寄せではありません)
今回の記事では、自己成就予言効果として世界観の現実化を説明していきます。
自己成就予言効果とは?
たとえ根拠のない予言や思い込みでも、人々がその予言を信じて行動することで、結果的にその通りの現実がつくられる現象のことを指します。
例を書きます。
誰かが「トイレットペーパーが不足する」と言えば多くの人が買い込みます。そして本当に不足します。
「○○銀行は危ないらしい」と誰かが噂をします。それを真に受けた人々がその銀行から預金を引き上げます。そして本当にその銀行は危なくなります。
上の2つの例は実際にあったことです。
思い込みが現実になるのは、自己成就予言効果によるものです。
思い込み通りの結果になるための行動を気が付かないうちに無意識的にする、という心の仕組みがあるからです。
自己成就予言効果の良いパターン
ピグマリオン効果:
「あなたは出来る人だ」と期待をかけることで、本人の意欲や向上心がアップします。
そして実際に期待していた通りの人になることがあります。
自分は出来ると信じたことで、それ相応の努力をして自信がつき、能力が発揮出来ます。
自己成就予言効果の悪いパターン
ゴーレム効果:
「お前はダメだ」
「お前は愛されない子供だ」
と言われ続けて育てば、自信がなくなり実際にそうなることがあります。
存在を無視し続けることも、尊重される存在ではないと伝えることになり、悪い結果を招いてしまいます。
「自分は嫌われる」という自己成就予言効果の例
毒親に「お前には価値がない」「人に嫌われる最低な人間だ」と言われ続けたとします。すると子どもの頃から思考の癖がそう働くようになります。
結果、自分の目の前で起こる全てのことが、自分は嫌われているかもという不安に直結します。
その「予言」が現実化する例は以下の通りです。
パターン1:遠慮し過ぎる
自分は嫌われている、何をしても嫌がられると思えば人を避けます。
休憩時間は1人で過ごす、食事や飲み会の誘いを断る等です。それが繰り返されれば、この人は1人が好きなんだろうなと周囲は判断し、気を使って距離を置きます。
その周囲の気遣いを見ても、自分は嫌われているから距離を置かれるのだと思い込みます。
そのような人は何か親切にしてもらっても、遠慮し続けます。
相手からすれば、好意を示しても受け取ってもらうのが難しいので面倒に感じはじめます。好意を遠回しに断られている、迷惑がられていると思う場合もあります。
そのようにして、嫌われているような状態、が成就されます。
パターン2:試し行為を繰り返す
自分が大切にされているのか自信がないために、それを確信するために試し行為をします。
遊びに誘われても断り、何度も誘ってもらうことで確信を得ようとします。
職場でも「やめようかな」という発言をして、引き留めてもらうことで自分の価値を確認します。
挙句の果てに、相手に冷たい態度を取り、縁を切られないことで自分は嫌われていないかどうかを試します。
そのようなことを繰り返すと、やはり周囲は距離を置き始めます。
周囲の人からすれば、そんなに嫌ならこちらから離れようと思います。誘うと悪いのかな?と感じます。
そして「やっぱり自分は嫌われるんだ」と確信します。
さらに不安になり試し行為が酷くなり、もっと周囲の人が離れていくという悪循環が起こります。
「自己成就予言効果」と「引き寄せ」の違い
「思うことの現実化」なので引き寄せと同じものに思えるかもしれません。
ですが、徳とカルマの法則で考えれば、引き寄せと自己成就予言効果は別物です。
- 徳:徳を積むなど、良いことをして貯まる良いエネルギー
- カルマ:悪い行いをして溜まる悪いエネルギー
です。
- 徳は良いできごとを起こします。その結果消費されます。
- カルマは悪いできごとを起こします。その結果解消されます。
引き寄せは、自分の持っている徳を使い願いを叶えることです。引き寄せをすればするほど、徳を消費します。
自己成就予言効果は自分が創り上げた世界観です。良い世界観なら行動や努力で現実化しています。努力したという実感があまりないだけです。なので徳と直接交換するものではありません。
先に書いた「自分は嫌われる」という自己成就予言効果で説明します。悪い世界観を悪い行動で現実化させた例です。
これは「自分が嫌われるか嫌われないか」の世界観です。嫌われると本気で思い込んでいれば、試し行為はしません。嫌われていると確信していれば試す必要はありません。
何をしても嫌われるなら別に遠慮もしません。遠慮したところで嫌われてることに変わりはないからです。
その世界観の中で嫌われるを選択し実現するように自ら動いています。なので引き寄せ・逆引き寄せとは別のものです。
良い世界観を良い行動で現実化させるのがピグマリオン効果です。
ピグマリオン効果は、期待された自分が「期待通りになるかならないか」の世界観です。
期待された瞬間に期待通りのレベルに成長するわけではありません。そのレベルに達していないから、そうなるまで何度も挑戦したり努力した結果期待に応えられます。
自然に努力が出来るので、結果的に引き寄せのような効果が得られます。
この原理を見落とせば、自己成就予言効果を効果的に使えないかもしれません。
世界観を創り上げるのではなく願うという引き寄せをする(徳を消費する)、思い込みそのものを自己成就予言効果と勘違いして効果が得られないなどで上手くいかなくなります。
「ピグマリオン効果」と「自信過剰の現実化」の違い
- ピグマリオン効果=努力を努力と思わずに頑張った結果得られるもの(徳の消費はない)
- 自信過剰による引き寄せ=自分は素晴らしいという思い込みが念力になった結果得られるもの(徳を消費する)
自信過剰の現実化1:引き寄せ
根拠なく「自分は特別に優れている」「自分は常に正しい」と思い込む人がいます。
単純にそう思えるなら「自己肯定感が高い」だけですが、必死で思い込もうとして周囲にまでその価値観を押し付ける人がいます。
ピグマリオン効果により努力をして本当に優れた人になったわけではなく、単なるうぬぼれです。いわゆる「選民意識」です。
このような人は、自分は素晴らしいという世界観で生きているのだからそれが現実化するのでしょうか?
実は、この選民意識は現実化することがあります。
このような人は「気が強い」場合が多く、念力のようなもので思い込みを引き寄せます。努力で予言が成就したのではなく、思い込みで引き寄せたに過ぎません。
良いものを引き寄せれば徳を消費します。最初は良くても、徳がどんどん消費され気がつけば落ちぶれている状態になります。
自信過剰の現実化2:不安の成就
自信過剰な人が引き寄せではなく、自己成就予言の効果が出ればどうなるでしょうか?
うぬぼれや自信過剰は自信がない裏返しです。なのでそれが現実化します。
努力や実力以上の評価は最初は良くても失敗をしやすいものです。反省も出来ないので修正も出来ません。
「自分は正しい」ので、失敗を誰かのせいにします。
このようにして、何もかもうまく行かないという無意識の予言が成就します。
良い世界観を持つために
悪い思考の癖をなおしていけば、世界観も良いものになります。
ネガティビティ・バイアスという、悲観的に考えてしまう心理状態があります。脳のシナプスの癖でもあるので、単純に治すべきものと思って修正してください。
良いなと思う世界観を自分の中に取り入れるのもおすすめです。
仕事についての世界観を例に出します。
- 賃金は我慢料だ。どれだけ苦痛に耐えたかによる
- 賃金は役に立った料だ。どれだけ役立てたかによる
の、場合
- 多くの賃金を貰うためには、多くの我慢と苦痛が伴います。
- 多くの賃金を得るために、役立つことを多くする必要があります。
なので、2の方が幸せな世界観です。賃金を得るために苦痛に耐える必要がありません。人の役に立てば自信につながり、気分も良くなります。
まとめ
- 自己成就予言効果とは、予言通りの行動を無意識的にとったため成就すること
- ピグマリオン効果は、期待された通りの成果がでること
- ゴーレム効果とは、期待されなかった通りの結果がでること
- 嫌われるのでは?と思うと行動がおかしくなり、結果嫌われた感じになる
- 引き寄せは徳を消費して叶う、自己成就予言効果は世界観を自分で創る
- 自信過剰な人が成功するのは引き寄せの効果
- ネガティビティ・バイアスをなくせば、良い世界観が持てるようになる