「冗談が通じない人」という”良くない評価”があります。
確かにそのような人はいます。ですが一方、冗談ではない悪質な言葉を押し付けてきて、拒否されれば「冗談も通じない」と、相手が悪いかのように言う人がいます。
私はものすごい「ゲラ」です。自分で心配になるレベルの笑い上戸です(人前では抑えているのでバレて?はいないようです)
自分の悩みごとも、一旦笑いに変換して考える癖をつけています。笑いによって何度も心を救われているので、楽しい冗談は大好きです。
そんな私でさえ、その冗談面白いの?と、素で聞いてしまうようなものがあります。
今回の記事では、悪質な気持ちを「冗談」という言葉を使って押し付ける人について書いていきます。
コミュニケーションでの「冗談」
冗談によるコミュニケーションは、笑いによって場を和ませる、明るくするなどの役割があります。
それが可能なのは
- 相手に対する気遣いや思いやりなどの好意がある
- 鋭い視点、広い視野、良いセンスがある
の、2つがあることです。
大切なのは「1.相手への好意」です。
相手が誰かにひどい目に遭わされて落ち込んでいる、そんな時に元気になってもらいたい、笑ってほしいと思い冗談を言います。
そこまで深刻でなくても、
- 何か1つのことに囚われて苦しそうだ
- 緊張をほぐしたい
- 警戒心を解きたい
- 仲良くなりたい
- 敵意がないことを示したい
といった理由で笑ってもらおうとするのも好意からです。
「2.センス」ですが、もちろんあるに越したことはありませんが、なくても何とかなります。
笑いは現実とのズレを感じた時に発生します。そのズレが、誰でも思いつくようなものなら新鮮なネタではないので面白くありません。斬新な発想や広い知識、好奇心などがいります。
ズレ方の大小で、笑いではなく「感心」や「納得」になります。なので笑える程度にズレさせるテクニックも必要です。
だからこそ、お笑いという仕事があるわけですよね。
ですがこのセンスがなかったとしても、何かを良くするために笑わせようとする行為は、気持ちが温かくなります。
その結果場も温まりなんだか笑えてくるということもあります。「笑えないのに笑わそうとするのが面白い」とか、そんなズレで笑ってしまうこともあります。
笑わせたい人は、場を良くするという目的を果たせたわけなので「失礼だな」と言いつつ一緒に笑ってくれるかもしれません。
「冗談も通じない」という人の心理は?
あなたに悪意がある
「冗談なのに」「冗談も通じない」と不満を言う時点で、あなたに悪意があると思って間違いありません。
なぜそう断言できるのでしょうか?
もし実際に、場を良くしよう、あなたに良い状態になってもらおうとして冗談を言ったとします。
それがあなたにとって酷いことやショックを受けるような内容で、傷ついたとします。
相手を不本意に傷つけてしまえば、申し訳なく思い悲しくなります。何が原因で傷つけたのか、どうしてこうなったのかと悩みます。
一旦はショックで固まってしまうかもしれませんが、そんなつもりはなかったことを伝え、とにかく謝るはずです。少なくとも相手を責めようとは思いません。
それに対し「冗談なのに」と怒るのは、相手が傷つくことを予想していたからこその反応です。
「冗談なのに」の言葉にある欲求の例
1.悪く言っても怒るな
相手が言い返さない、怒りを我慢してくれる前提で失礼なことを言った場合です。
それに対し、不快感を示せば
「冗談なのに」
「本気にするなんて大人げない」
と言って、相手の怒る権利を奪おうとします。
2.お前を使って笑いを取る予定なのに使えない
言われたくないようなことを、周囲に声高く言って、笑いものにしようとするなどがあります。
欠点をオーバーに楽しそうに言うなどです。
それに怒ると、「冗談なのに怒るなんて、空気読んで」などと言います。
自分が良い思いをしたいために、人の欠点をつついて笑いものにしたいだけです。
3、お前を使って楽しもうとしているのに使えない
相手の欠点を面白おかしく言えば、ストレス解消になる。人が劣っている点を確認することで自分が優れた人間のように思えて気分がいい。
この欲求を「冗談」という言葉で通そうとします。
4.こっちの立場が上なのだから従え
空気読め、という言葉ですが、場の空気を制しているのは自分なのだからお前は合わせろという意味です。
失礼な発言に対して怒れば「空気読めない」というのは、
それぐらいのことが許されるぐらい自分は上の立場だと言っていることになります。
5.ダメなの?じゃあ今のナシで
毎回、「奢って!」「買って!」と言い、断れば「ケチ」という相手に、
「そんなに生活が苦しいの?行政に相談してみる?」
と聞けば、「冗談なのに!」と怒ります。
ダメ元で言ってみて、食い下がってみる。OKが出ればラッキーだという考えですね。
それを毎回言われて、断るのはかなり疲れます。どんな無理なことでも、断るのは罪悪感を生みます。持たなくていい罪悪感を無理やり持たせてくる相手に対して嫌な気持ちさえ湧きます。
ですが頼んだ相手は「要望を聞いてないから頼んだことはノーカウント」と思っているようです。
この「冗談」は、言ったことはナシの意味です。
6.さっさとエネルギーを寄越せ
嫌な冗談で笑いを強要するのは、エナジーバンパイアの行動です。
面白くもないことを「笑う」というのは、相手に気を使っています。気エネルギーを渡している状態です。
酷いことを言われても怒らずに笑えという欲求は、エネルギーを奪います。
7.無条件で許してもらう魔法の言葉
何か怒られるようなことを言っても「冗談なのに」で許してもらえる。
許さない人は「冗談が通じない人」なので、冗談が通じない相手が悪い、自分は悪くない、という理屈です。
「1.悪く言っても怒るな」と似ていますが、こちらの方がより「受け入られれて当然」という気持ちが強いものです。
「冗談も通じない」という人への対処法
「笑えると思って言っているの?」と聞く
私の経験では、これを言うとかなりの確率で相手は黙ります。
「冗談」とは相手を笑わせるためのサービスという本来の意味を忘れて使っているからです。
冗談=怒るな、という魔法の言葉くらいで使っている所に、本来の意味を確認されてしまい、頭の整理がつかずに言葉が出ないようです。
気が付かずに失礼な「冗談」を言っていただけなら、この質問で考え直してくれます。
明らかに自覚している悪意があれば
「心が狭い」「いちいちうるさい」と言ってくるかもしれません。その時は
「冗談と言うから、その冗談は本当に面白いのか疑問に思って質問しているのだけど?」と、冗談という笑いについての話題に戻します。
この時の相手の反応で、今後を考えることが出来ます。
距離を置く(冗談を言い合う仲にならない)
悪意があり危害を加えてもOKだと思っている相手とは、付き合い方を見直した方が良いです。
「冗談」に対して無反応でいて良いと思います。「冗談」を言い合うほどに親しくなければ反応する必要もありません。
自分なんてあなたとは親しくなるほどの立場ではありませんので、と遠慮して良いと思います。
相手より強くなる
地位、立場、大多数かどうかが、空気を読んでもらう側なのか読む側になるかに影響します。
ですが、相手よりも「気を強く持つ」ことで、冗談から離れられます。
このような話がありました。
ある気が強いAさんが、大人しいBさんに悪質な冗談を言いました。
Bさん関係の人の命に関わる悪質なことをゲラゲラ笑ってさらに最悪なことを「面白いよね」と言い始めました。「〇んだら面白いのにね」とかそのような類です。
その後どうなったかですが
- BさんはAさんを居ないものとして扱う(業務上の関係はなかった)
- Aさんが怒るも、居ないもの扱いなので完全無視
- Aさんに気を使っていた周囲が「あのBさんが怒るとは」とAさんを避けるように
- その後AさんはBさんに取り繕い続けるも居ないもの扱い続行
- 2か月後、家庭の事情?でAさん退職
- 退職を知らされたBさん「へー、Aさん辞めたの」
これは、人の不幸を笑ってやろうと軽い気持ちだったAさんに対し、その「不幸を望む冗談」を絶対に受け入れないと、強い気持ちで拒否したBさんの差によりものです。
Bさんの気持ちのほうが断然強かったので、太刀打ちできませんでした。
(Aさんの退職理由が本当なら、Bさんが受け取らなかったことでAさんの発した呪いのようなものが本人に返ってきているということにもなります)
まとめ
面白くない話を面白いと笑わなければ「冗談も通じない」と言われるのは、普通に考えて変な話だと思います。