コンコルド効果とサンクコスト効果【もったいないの罠】

認知バイアス
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「もったいない」の気持ちによって、かえって損をすることがあります。

その例として「コンコルド効果」と「サンクコスト効果」という認知バイアスがあります。

認知バイアスとは、ありがちな勘違いや思い込み、偏見のたぐいです。それを避けるためには、認知バイアスについて知ることが有用です。

罠を知っていれば、ひっかかりにくくなるからです。

今回の記事では、損失を拡大し破滅に導く恐れがある「コンコルド効果」「サンクコスト効果」について書いていきます。

  • 「コンコルド効果」「サンクコスト効果」とは
  • 代表的な4つの例
  • 「コンコルド効果」「サンクコスト効果」の対策

「コンコルド効果」と「サンクコスト効果」

この2つのバイアスと並んで語られることがある「プロスペクト理論」については、下の記事をどうぞ。

簡単に書くと、損をするのが嫌すぎて判断をあやまりかえって損をする勘違いです。

「もったいない」「損をしたくない」という強い気持ちによる失敗が、コンコルド効果と共通しています。

コンコルド効果とは?

簡単に書くと

せっかく今までやってきたのに今やめるのはもったいないという気持ちです。

今までに使った、お金や時間、労力などをもったいなく感じ、続けても失敗すると分かっていても、

「もう少しで得をする」
「あとちょっとで成功する」

と思い込んで、続けてしまう事です。

これは人間の大人特有の心理と言われています。

人間の大人は費やした物に対して計算が出来ます。それが無駄になるのはもったいないと感じます。同時に、もったいないことをしていると自覚するのも嫌だという気持ちがあります。

なので、あと少しで成功すると思い込みます。成功すれば今まで費やしたものが無駄ではなくなるからです。

超音速旅客機「コンコルド」を開発している時、定員が少なく燃費も悪いため採算が取れないことが分かっていました。

しかし既に4000億の予算を投じていたので進めざるをえませんでした。

このことで起きた大損失が、「コンコルド効果」という名前の元になっています。

サンクコスト効果とは?

心理学ではコンコルド効果と呼ばれていますが、経済学ではサンクコスト効果と呼んでいます。

サンクコスト(埋没費用)とは、回収不可能な費用の事です。

すでに支払っていて、取り返すことができない金銭や時間、労力などのことです。

投資したものが無駄になりそうだとしても、もう少し投資すれば成功して投資額が回収できるのではないかと思い、続けてしまうような状態です。

「コンコルド効果」「サンクコスト効果」の具体例

コンコルド効果で損失を大きくするパターンとして代表的なものとして、以下の4つがあります。

1.投資・ギャンブル

「ここまで資金をつぎ込んだのだから引き下がれない」
「もう少し投資すれば損失を取り戻し逆転するかもしれない」

といって、いつまでもお金をつぎ込む事をやめられません。

ギャンブルで、今まで負けた分を取り戻そうと大きな額をつぎ込み、さらに損をする例があります。

2.行列に並ぶ

人気店での飲食や。アトラクションに乗るために行列に並んだとします。

もし途中で気乗りしなくなっても

「折角並んでここまで順番が近くなったのに」
「並んでいた30分が無駄になってしまう」

と思い、列から離れられません。

3.恋愛・交際

付き合った相手に対し想いが冷めてしまったり、気が合わなくなったと感じたとします。

ですが、

「もう3年も付き合ったし今更別れるのも」
「楽しい思い出を一杯共有してきたのだから」

などと思い、ずるずると交際を続けます。

4.趣味

ある連載漫画が面白いと思いシリーズで買い続けていました。

10巻くらいから興味をなくしたものの、

「折角今まで集めたのだから全巻揃えよう」
「途中から再度面白くなるかもしれないし」

といった感じに、ずるずると30巻を過ぎたあたりでも買い続けます。

コンコルド効果への対策

ゼロベース思考を取り入れる

ゼロベース思考とは、今まで持っている前提条件や経験、思い込みの枠を外して考えることです。

今までの考え方、やり方を一旦リセットし、白紙に戻します。そうすることで、今までの延長線上ではない新しい結論を出していきます。

ゼロベース思考は、「今何をやりたいのか(何をすべきなのか)」「そもそもの目的は何なのか」という起点で考えてみると、やりやすくなります。

コンコルド効果の時にゼロベース思考を使うなら、

「せっかく」
「あと少しで」
「もったいない」

といった、過去のしがらみや感情、希望的な予想を外して考えます。

それを外したうえで、どうすれば上手く行くのかを考えます。

執着・依存に気付く

苦しみの根源の1つは執着だと言われています。

コンコルド効果での、もったいない、いまさら変更できない、せっかくここまでやったのに、という考えは執着でもあります。

執着は依存を生みます。

コンコルド効果は、無駄な事をしていると認めたくない心理からも発生しています。

その気持ちが強すぎれば、執着になるかもしれません。

損きりについて決めておく

  • ここまでやっても成果がなければあきらめる
  • これだけ損をすれば手をひく

といった、ここまでという限度をあらかじめ決めておきます。

瞑想をする

瞑想をすれば、感情を落ち着いて観察できます。

心が波立っているのを静めてくれます。

心が波立たない状態で考えれば、ざわついた時よりもはるかに冷静な選択が出来ます。

まとめ

  • 「コンコルド効果」「サンクコスト効果」とは、もったいないという気持ちが逆に損をまねく認知バイアス
  • 代表的な例
    • 投資・ギャンブル
    • 行列
    • 交際
    • 趣味
  • 対策
    • ゼロベース思考
    • 執着に気付く
    • 損切り
    • 瞑想

損をしたくないために損をするとは、認知バイアスは不思議ですね。

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