妬(ねた)まれていても、相手側は「妬んでいる」という自覚はありません。
「すごい人」「敵わない人」を目の前にすると、人は認知を歪ませて自分を守ろうとします。
尊敬する、目指す、参考にするといった、好意的な反応をする人もいます。ですが認知を歪ませ敵意を示す人もいます。
今回の記事では、どのような自己防衛によって妬まれているのかと、その対処法を書いていきます。
妬まれやすい条件
距離感の近さ
勉強ができるかどうかについて、
距離が近いクラスメイトなら、自分よりできる人は妬みの対象になります。
学者と比較して妬むことはあまりありません。
自分の能力が相手を脅かす
どれだけ自分の営業成績が良いかを競っているときに、陸上競技で良いタイムを出す人を妬みません。
自分よりも良い営業成績をとる人が、妬む対象になります。
目指しているものが共通している
同じ大会に出る、同じ賞を目指している、同じ業種で働いている、といった場合、優れた人がいれば脅威を感じます。
まったくの畑違いで、ほぼ影響を及ぼさないものなら、妬みの対象になりません。
あくまでも、妬まれやすい条件です。妬もうと思えば距離もジャンルも超えていくらでも妬めます。
妬まれる理由
「すごい人」「とても敵わない人」と思われているからです。
人は自分を劣っていると思いたくありません。
ですが、目の前に優れている人が現れれば、自分の劣っている部分が目に付きます。
劣っていれば負ける、極端に言えば生命の危機を感じるということです。なので回避し、自分を守ろうとします。
実際に優れているか、敵わないかという事実が問題ではなく、そう判断した場合の話です。
自己肯定感が高ければ、それも含めて自分はOKだと思えます。ですがそうできる人ばかりではありません。
自分はその人より劣っていると判断したとき、心の動きは以下のパターンに分かれます。
- 感服する、尊敬する
- 目指す、追いつき追い抜こうと思う
- 劣っていないと思い込む
- 攻撃し、排除しようとする
- 落ち込む
1.感服する、尊敬する、2.目指す、追いつき追い抜こうと思う
自己肯定感をしっかり持っていれば、このような心の動きになります。
自己肯定感が高ければ、人からの評価ではなく、自分が自分であるから良いという、自己評価が出来ます。自分の中にしっかりとした価値観や、頑張ってきているという確信も、自己肯定感を高めます。
3.劣っていないと思い込む、4.攻撃し、排除しようとする
この2つに心が動く時、大きな認知の歪みをともないます。
自己肯定感ではなく、自己重要感で自分の価値を決めていればこうなります。
他人との比較も自分の価値の重要な基準だからです。「とても敵わない」なら、心の中でそれを否定しようとします。
自己重要感は「自分は優れている」という人からの態度や評価によって満たされます。
5.落ち込む
これは自己肯定感も重要感もなく、自己否定する癖がある人はこうなります。
自己肯定感が高ければ、少しの間は落ち込んでも、その後喜びの気持ちに変わります。ドラゴンボールの孫悟空が強敵を目の前にして「ワクワクする」のと同じです。
妬んで人を攻撃するわけではないので、問題がないように思えます。ですがこの場合、対象を攻撃する代わりに自分を攻撃しています。
妬むときに起きる認知の歪み
妬んでいると自覚すれば、劣っていると認めることになります。なので、妬んでいるとは気が付かないまま、以下のような心の動きをします。
自分の方が優れている
- でもあいつは○○に関してはダメだ
- たまたま環境に恵まれただけ、自分ならもっとできる
わざわざこのような悪口を言うのは、分かりやすい妬みです。
相手を否定したり、出来ない部分を見つけて安心しようとしています。
自分が関係している人はすごい
- 自分の所属している場にすごい人がいる
- 知り合いにすごい人がいる
- すごい人が仲間だ
すごい人の存在を、自分の箔付けに使います。
仲間を素直に祝福していることを指しているのではありません。
凄くても関係ない
- あの方面で優れていても大したことはない
- 別にあんな能力うらやましくない
酸っぱい葡萄です。本当はうらやましいのに、そうでないと思い込もうとします。
実際に関係をなくす
目の当たりにするとつらいので、会わない、連絡をとらないなど相手を避けます。
この場合、避ける理由の認知が歪んでいます。
- どうせ自分なんか相手にする時間はないだろう
- あいつは人が変わってしまった
- 調子に乗っているからむかつく
と、相手側に非があって会わないのだと思います。
正しいのは自分の方だ
- ズルいこと、汚いことをして成功している
- 輪を乱す行為をするな
- 暗黙の了解を破るな
才能に突出しているのを「輪を乱す」
成功して業務の範囲を広げるのを「暗黙の了解を破る」
といった感じに、相手が悪で自分が正義だと思います。
徒党を組んで悪口を言い、冷たく対処し、追い出そうとします。
妬まれた時の対処法
相手は、恐怖を感じた結果、妬んでいます。恐怖を取り除くことが対処法です。
苦労を隠さない
妬んでいる人は、その対象が苦労を背負っているという想像をしていません。
楽していい思いをしてズルい、とさえ思っています。
滅入るほどに苦労話をする必要はありませんが、恵まれていると思っている人が、そうでもないと知れば安心するようです。
ただこの方法は、謙虚にするのと同じくらい相手の解釈で評価が変わります。
それでもやはり、そつなくやっている、上手くやっている、ように見える人は妬まれやすいなと感じています。
「あいつ」ではなく同志になる
自分の才能や努力が、その人の脅威ではなく力になると感じてもらうことです。
「あなたのおかげで」という感謝の気持ちは、仲間意識と同時に自己重要感を与えます。
相手を肯定する
すべてにおいて相手が劣っているわけでもなければ、妬まれる側が優れているわけでもありません。
当たり前の話ですが、妬む側は気が付かないようです。
相手の良い面をはっきり褒めて尊敬を示せば、脅威に感じる気持ちも緩みます。
まとめ
- 妬むのは、恐怖や危機を感じ、身を守るため
- 妬んでいる側は自覚していない
- 妬む時におきる認知の歪み
- 自分の方がすごい
- 自分たちはすごい
- すごいね、それで?
- 成功して嫌な奴になったから距離をおこう
- あいつは悪い奴だから追い出そう
- 妬まれたときの対処法
- 努力や苦労していることを隠さない
- 成功したのはあなたのおかげ
- あなたもすごいですよ
妬まれた時の対処法ですが、単純なようで効果がかなりあります。
妬む側は、対象を「優れている敵」だと思うから排除しようと思っています。優れている味方ならば、安心してもらえます。