自己認識を違えていることが自分嫌いの原因です。
自分を誤解しているから「うまく動けない」「自分が好きになれない」「自信が持てない」という事態が起きています。
アドラー心理学では「人の悩みのほとんどが対人関係によるもの」と説明されています。
アドラー心理学は「嫌われる勇気」という本で有名になった個人心理学で、オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーによって創始されました。
人は、自分を理解した7割程度、他人についても理解出来ます。なので自分を理解すれば対人関係問題の解決にも繋がります。
さらに言えば、自分が嫌いな人は本当は他人も嫌いです。言い換えれば自分を好きになれないなら人を好きにはなれません。これが心の仕組みです。
今回の記事では、自己認識を違えたことによる「自分嫌い」について書いていきます。
自分のことも人のことも好きになって心が楽になりたいと思っている方は、是非読んでください。
自分が嫌いな原因は?
結論を書きます。
自分が自分自身を知らないから嫌いなのです。
さらに書きます。
自分が、自分でない偽物の自分を理想にしたり、他から押し付けられた自分を自分として認識しているから好きになれないということです。
つまり、
自分ではない自分を、自分自身と勘違いして認識しているから、自分が嫌いというわけです。
これは心を以下の3つに分けて考えた時の「超自我」によるものです。
- エス(人間の本能的な欲求の部分)
- 自我(エスと超自我の調整部分)
- 超自我(理想を目指す部分)
超自我の「立派な自分でありたい」「成長したい」「認められたい」という気持ちから努力します。ですがその方向性が違えばなかなか報われません。
例えば、
- ONE PIECEのゾロが剣術そっちのけで方向音痴を直そうとする
- ドラゴンボールの孫悟空がサラリーマンになろうとする
- キャプテン翼の大空翼が「友達を蹴るな」と言われ、蹴るのをやめようとする
といった努力をして、それが出来なくで「自分はダメだ!」と自分を責めたとします。(ありえないことですが…)
それに対し「それは違うから!あなたの魅力はそこじゃないから!」と思いますよね。
これはアニメで自己認識の違いが分かりやすい例です。
ですが実際にそのような類のこと、つまり方向性や魅力とは違う方向で頑張ってしまい、自分嫌いになる人は多くいます。
自分が嫌いな人の特徴
自分が嫌いということは、嫌いなものと24時間、365日ずっと一緒に居るのと同じです。自分アレルギーなのにそのアレルゲンと離れられない状態です。
そんな状態では「嫌だ!!」といった攻撃的な怒りのエネルギーが常に心にうずまきます。
そのエネルギーが
- 外に出れば他責になります。周囲が悪いから自分が不快だと感じています
- 内側に向けば自責になります。自分が悪いから不快だ、そんな原因は消えてしまえと思います
通常は、自責・他責のどちらかに軸を置きつつも両方の要素を持ちます。場所や状況に応じて変わることもあります。家では他責だけれど職場では自責というパターンもそうです。
そして、以下の特徴が出やすくなります。
自分への評価
自信がなく自分を責める
過剰に自己批判、自己否定をします。自分を責め続ける感じです。
何か良くないことが起きれば「自分が悪いからだ」「自分のせいだから」と自責をします。その自責は解決に繋がらない場合がほとんどです。
何故ならば、起こった問題の原因や解決法までを考える余裕がないからです。
選民意識が高く人を責める
何かがあれば「人のせい」もしくは「環境・状況のせい」にします。
自分は頭が良くて優れている、周りの人と自分は違う、自分の凄さが分からないのは周りのレベルが低いからだと思い込みます。
そう信じていなければ自分が嫌い過ぎて耐えられないのでそうしています。
人を責める怒りは自分自身への怒りでもあります。
人のせいにするのは問題の解決を人に委ねている状態です。なので自責よりもやっかいかもしれません。
人への評価(自分と人との比較)
褒めまくる
あの人はこんな所が凄い、この人はこの部分が尊敬出来る等、人をよく褒めます。
ですがその褒めている内容は、全くの的外れか、あくまでも表面的な部分を見ているだけです。
自分の良さが分からないのに、人の良さが分かるわけはありません。
悪口が多い
自分の価値を見出すために人の悪口を言います、優越感を感じたいためです。
ですが、人に依存した自分の価値は不安定なものです。その不安を解消しようと思いさらに悪口を言い続けます。自慢話とセットになっている場合もよくあります。
そして「悪口は自己紹介」になっています。
悪口は自己紹介:人の悪口を言っているつもりで、自分のことを言っている状態。
努力について
追い立てられるように努力する
マズローの欲求5段階説の図です。
自分を認めてほしい、自分で自分を認めたいという承認欲求は、欠乏欲求です。
足りないから求めているので、飢餓感が強く追い立てられるように激しく努力をします。
それが報われなかった時の絶望感は強いものになります。
向上心がない
自分は何をやっても駄目だから、何もしないでおこうと怠惰になります。
だからと言って自由を楽しんでいるわけではなく、この状況さえも人のせいにします。社会が悪い、親が悪い等です。
立派そうな目標を掲げつつ「いつまでたっても準備期間」のまま怠惰を続ける場合もあります。
難易度の高い試験を、そこそこの勉強をしながら何年も落ち続けるのもこれにあたるのかもしれません。
人付き合い
1人が好きでパーソナルスペースが広い
人に嫌われない様に気を使うのに疲れる、人は自分と居ても迷惑かもしれない等、そのような気持ちが強いので1人で居たいと思います。
1人だとそのような心配がなく、実際に楽なのでその状態が好きになります。
1人になるのが怖い
人に嫌われていない証明として、人と居続けることを望みます。
そのような理由で人と接している人は、単独で行動する人を非難しがちです。
「人の繋がりを大切にしない」「自分勝手」「思いやりがない」「人に嫌われているから1人なのだろう」などと決めつけがちです。
許しについて
自分を許せない
自分のこんな部分が嫌いなんだ、ここが許せない等、何かがあると自分を責めます。
自分を責め続けるのは、悲劇のヒロインに自身を仕立てているのにも似ています。なので自己陶酔に近い状態にもなります。
たまにはそうやって自分を甘やかすのも良いのですが、常にやり続けると認知が歪みます。
人を許せない
人の弱さからくる言動でも、それが自分への攻撃でないのにもかかわらず許せないようです。
自分を許せない人は人も許せません。自分の代わりに人を責めている状態とも言えます。
自分を好きかどうかの自覚
自分が嫌い
この世界で自分が一番ダメな人間で、たとえこの世を燃やし尽くしたとしても、一番ダメな自分が残るので意味がないとさえ思うくらい、徹底的に自分が嫌いです。
自分が「条件付きで」好き
人に親切に出来る自分が好き、真面目に努力する自分が好き、といった感じに、自分が好きなことに「理由」を求めます。
その条件や長所がなければ自分が受け入れられないので「自分が好き」ではありません。
自分が好き過ぎて賞賛を求める
本当は、賞賛され続けていなければ不安なので求めています。
自慢話を多くする理由はこれです。自信があるようで、ないから人から認めてもらおうとします。
自分を勘違いする2つのパターン
在るべき自分ではないという勘違い
「本来在るべき理想の姿」と「今の自分」は違うという思い込みです。
たとえば、内気で中々人と話せない自分はダメだと感じたとします。
それは、本来の自分は外向的で多くの人と仲良くなれるはずだ、そう出来ない自分は在るべき状態ではない、だからダメだという勘違いです。
この場合は「自分ではない何かになりたい」ために、苦しみながら努力します。
要らない自分が居るという勘違い
自分が欠点と思う部分について「嫌だ」「なくしたい」と捉えます。単純に今の自分そのものが嫌いといった感じかもしれません。
この場合は、自分は何をやっても駄目だと、怠惰な方向に気持ちが向きがちです。
自分嫌いを治す方法
自分を正しく認識する
まず「自分が嫌い」と思っていることを自覚してください。何処が嫌いなのか、なぜ嫌いなのかも含めてです。それを認めてください。
その気持ちを認識し見つめていくと、最初は嫌な部分ばかり見えてしまいうんざりすると思います。
その内、あきらの気持ちが出てきます。嫌でも足りなくても自分は自分です。否定しても仕方がないしどうにもならないと気が付きます。
最初はただのあきらめですが、なんとなく認められるようになります。
段々と親しみも湧いてきます。自分が嫌だと思っていた部分にも、少しずつ良い面が見えてきます。意外と悪くないかもと思える部分が増えてきます。
すると不思議なもので、長所として発揮されるようになり、好きとさえ思えるようになります。その部分を磨いたり伸ばしたりするようになり、自分への信頼へと変わっていきます。
このように、自分を正しく認識さえしていれば、人とは違う良さや伸ばすべき部分が見えてきます。
ただ、この内観は年単位の時間が必要なので、下の方法と合わせることをおすすめします。
好きな人物について考える
好きな芸能人や歌手、アニメキャラ、ハリウッドスターでも良いし、身近にいる誰かでも構いません。
魅力的に思う人や尊敬する人を思い浮かべてみてください。
その人は欠点がない完璧な人でしょうか?どちらかと言えば、欠点と言われる部分に魅力があるのかもしれません。
それをそのまま自分に当てはめてみてください。完璧超人に魅力を感じるでしょうか?
好きな人物の欠点が気にならないように、自分の欠点も受け入れてみてください。
まとめ
- 自分が嫌いなのは、自分ではない何かを自分と勘違いしているから
- 自分が嫌いだと、以下のような自責か他責の両極に走りがち
・何かがあれば、自分のせい/人のせい
・人に対し褒めまくる/悪口ばかり
・努力について、追い立てられるようにする/怠惰になる
・人との交流について、1人が好き/1人になるのが怖い
・自分を許せない/人を許せない - 自分嫌いを直すには
・自分を正しく認識する
・好きな人物の欠点について考える
自分が嫌だ!!という衝動を発散し楽になる方法として、Death Metal(←爆音注意)などのエクストリームミュージックを聴くのもお勧めです。