こんにちは。くまの(Kumano@Rpgmg)です。
「認知の歪み」と「認知バイアス」は両方とも事実に対し間違った捉え方をして認識を間違うという原因になるものです。
似た印象のものですが、心理学ではこの2つは区別されています。
今回の記事では、認知の歪みについて、認知バイアスとの違いを含めて書いていきます。
認知の歪みとは何か?
認知の歪みについて
認知の歪みという概念は精神科医アーロンベックが基礎を作ったもので、後に弟子が研究を引き継いでいます。
この思考パターンでは、ものごと全てを悪い方に捕らえ、現実を不正確に認識させます。なので非常に生き辛くなります。
認知の歪みの原因になるものはスキーマです。スキーマとは構造のことですが、心理学でいうスキーマとは、その人の土台となる考え方や元になる記憶のことです。
簡単には意識できない深いところにあるので通常は気が付きません。
幼少の頃の環境が良くなかったために形成される早期不適応スキーマが、認知の歪みの原因になります。
(スキーマの記事を書き次第リンクを貼ります)
認知の歪みに有効な対策は、認知行動療法と言われています。
認知の歪み10パターン
バーンズは認知の歪みについて、以下の10パターンを挙げています。
1.全か無かの思考
二極化思考や二分法的認知ともいわれます。白か黒か、正しいか過ちか、敵か味方か、などです。
ものごとは2つのどちらかに分けて認知しないと気が済みません。
この考え方が続くと「グレーゾーン」「折り合い」などといった臨機応変な対応ができず、周囲とも衝突しやすくなり疲れます。
2.べき思考
〇〇すべきだ! 〇〇であるべきだ!
という考え方に縛られ、違うものには強い怒りや絶望さえ感じます。これでは自分の中の常識や考え方のでしかものごとを判断できなくなります。
常に怒りや不満を抱きやすい状態です。
3.極端な一般化
ひとつの事例や、単一の証拠を元に、非常に幅広く一般化した結論を下すことです。
1度のミスだけで「自分はどうしていつもこうなんだ、これからもミスを続けるに違いない」
旅行先で雨が降れば「旅行さえも楽しめない不幸に一生苦しめられ続けるんだ」
などです。
大抵の場合、いつもでも、絶対でもないはずなですが、極端に一般化して苦しみます。
4.拡大解釈・過小評価
自分の失敗を拡大解釈し、自分の成功は過小評価する考え方です。
この状態では自己肯定感や自己効力感も非常に低く、何をしても上手くいかないという緊張感を常に持ってしまいます。
5.感情の理由づけ
事実に対して結論付ける所を、単なる感情のみを根拠として、自分の考えが正しいと結論を下すことです。
頼んだ仕事を仕上げてもらって十分に満足なできなのに、例えばその時の挨拶が気に入らなかったから機嫌が悪くなったとか、感情を理由に仕事の出来を結論づけるなどです。
判断基準が不明瞭で、人からの信頼も失います。
6.自己関連づけ
人が怒っている時、自分のせいかもとビクビクする
何かトラブルが発生した時、自分が何かミスをしたのかと縮こまるなど、
何かの問題や発生した時、自分の責任だと考えてしまうことです。
7.結論の飛躍
「心の読みすぎ」と「先読みの誤り」の2つのタイプがあります。
どちらのタイプにしても、十分な証拠がないのみネガティブな結論を予想し苦しみます。
8.レッテル貼り
相手の印象から、思い込みやラベリングをして、勝手に結論づける考え方です。
9.マイナス化思考
例えば人に褒められた時でも、お世辞だろう、間に受けると笑いものにされるなど、どんな出来事に対してもマイナスの側面からとらえてしまう考え方です。
10.心のフィルター
ものごとの全体のうち、悪い部分だけを選択的に抽出する考え方です。悪い部分のみ目が行ってしまい、良い部分が除外されてしまいます。
生きていれば良いことも悪いこともありますが、心のフィルターを通せば「生きていて何1ついいことがなかった」と思い込みます。
「認知の歪み」と「認知バイアス」の違いは?
ものすごく簡単に書けば
- 認知の歪み 思い込み
- 認知バイアス 勘違い
です。
認知の歪みは、自分の中にルールや信条が出来てしまい、「歪んで」ものごとを捉えます。
一方、認知バイアスは脳が心の疲労を軽減するために作業を単純化させたため起こったものです。バグのようなものだとも言われています。
たとえば認知バイアスで正常性バイアスというものがあります。自分だけは災害に遭わない、事故を起こさないという錯覚・勘違いです。
これは、火事のニュースを見た時に不安になれば心が疲れるため、心を楽にするために起こります。
ネガティビティバイアスは、心のしくみとして良い記憶よりも嫌な記憶の方が残りやすいことから発生するものです。認知の歪みの「10.心のフィルター」と近い物でもあります。
嫌なことが心に残る理由の主な原因が
- 心の信条や記憶による認知の歪み=心のフィルター
- 危険なことを思い出しやすくして安全を守る心の仕組み=ネガティビティバイアス
という区別になります。
ただ、どちらか1つだけが原因ということはないので、明確な区別は難しいと思われます。
他にも認知の歪みと認知バイアスの違いは、
- 根本から考え方が違っているので修正が難しい=認知の歪み
- 単なる勘違いなので、気付くか指摘されれば納得できる=認知バイアス
- 自分が苦しまなければ許されないので苦しむ考え方が身に付いた=認知の歪み
- 心や脳の機能として、エネルギーを節約する手段=認知バイアス
- 視覚で言えば、元々視力が弱いので見えずらい=認知の歪み
- 視力で言えば、太陽から目を守るためサングラスをかけている=認知バイアス
といった感じです。
認知バイアスは疑似科学を信じる原因になることがあります。
人は「速い思考(経験則や直感)」と「遅い思考(理論)」の2つがあると、認知心理学で定義付けられています。遅い思考は脳が疲れる上に判断が間に合わないことがあるため、多くのことは「速い思考」で認知されます。
疑似科学は、速い思考に訴えかけるような結論を出した後、遅い思考が納得するような理論を並べ、強く信じさせます。
対策は確証バイアスを知り、理論の矛盾があるか見ていくことです。
確証バイアス:説を検証する時にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと
まとめ
- 認知の歪みは主に幼少の環境による早期不適応スキーマが原因でおこる
- 認知の歪みがあれば全てを悲観的に受け取る癖がついているので生き辛く疲れやすい
- 認知の歪みと認知バイアスの違い
- 認知の歪みは認知機能が根本から歪んでいる
- 認知バイアスは心が疲れないための機能