マトリョーシカのような構造は「入れ子構造」と呼ばれます。人形の中から人形が、さらにその中にも人形がというアレです。
今回の記事では、入れ子構造で、その3つの関連性や発達の順序を解説します。
気質・性格・人格の入れ子構造
3重構造のマトリョーシカなら、一番外の人形の中に、2つ人形が入っています。2つ目の人形の中には、もう1つ人形が入っています。
「超えて含む」の入れ子構造です。
まず、気質が基本にあります。(気質)
気質を元に性格が形成されて、(気質+性格 性格は気質を含む)
性格を元に人格が形成されます。(気質+性格+人格 人格は気質と性格を含む)
このように、気質→性格→人格の順に発達していきます。
この3つについて簡単に書くと
気質=生まれ持った性質。活発・粘り強い・五感が鋭いなど。
性格=気質に加えて、親や教育、経験などで作られるもの。
感情豊かな気質でも、親が無関心なら無感動になる場合もあります。これが形成された性格です。
人格=性格に加えて、能力や倫理観、生き方など個人の全ての質。
といった感じになります。
以下くわしく書いていきます。
気質(テンペラメント)とは?
気質は、その人が生まれながらに持っている、ある刺激への反応、感情、行動などの傾向です。
乳幼児から3歳までの行動は、7割が気質によるものだと考えられています。
ボールが転がってきたとします。これが刺激ですね。
このボールに対して、興味を示す・怖がるといった反応。手に持つ、蹴り返す、無視するといった反応が、気質です。
エンパス気質は、五感が敏感だったり、人に共感しやすいという元々の質を指します。
アメリカの心理学者であるウィリアム・アイザック・トマスらによって明らかにされた、幼少時の段階ですでに備わっている9タイプの気質的特徴は以下の通りです。
- 活動の活発さ:活動レベルの指標のこと。
- 注意のそれやすさ:刺激によって、どれくらい気がそれやすいか。
- 粘り強さ:課題に対してどれだけ粘れるか。
- 新しい環境への反応の仕方:新しい環境や人に出会ったときに、どう反応するか。
- 規則正しさ:食欲、睡眠などの生活リズムの規則性。
- 変化に対する順応の速さ:物事が変化したときに、それにどれだけ早く順応できるか。
- 五感の敏感さ:五感の刺激ににどう反応するか?
- 喜怒哀楽の激しさ:物事への感情反応の強さ。
- ベースの気性:気難しい、楽観的など、普段の過ごし方や機嫌のよさ。
この9つの強弱や組み合わせが、気質を決めるものです。
- 新しい環境にすぐなじみ、飽きっぽい
- 五感が敏感で、集中力が高い
- 粘り強く、喜怒哀楽が激しく、楽観的
など、多くのパターンがあります。
気質は変えられないと言われています。
なので気質を変えようとするのではなく、それにあった対処法で出来ることを増やしたり、伸ばしていく必要があります。
性格(キャラクター)とは?
- 狭義の性格
- 社会的性格(習慣的性格)
- 役割性格
の順に作られます。
1.狭義の性格
元々持っている気質+親や周囲の接し方で形成されたものです。
六歳くらいまでには、この基本的な性格が作られると言われています。
上に書いた気質の活動の活発さを例に出します。
とても元気がよく活発な子どもに対し
- 自由奔放に遊ばせ続けた
- 生活にメリハリが出る程度にしつけをした
- 「うるさい」と叱り続けた
の、3種類の反応があれば、それぞれ性格は変わります。
親に愛され認められれば自信を持てますが、拒否されれば劣等感を抱えます。
気質は変えられませんが、性格はある程度変えられます。ですが三つ子の魂百までと言われるように、この狭義の性格を変えるのは困難です。
2.社会的性格(習慣的性格)
狭義の性格(主に親や身近な人の影響で作られたもの)+さらに広く多くの影響を受けたものです。
親や周囲の価値観、生まれた地域や国の文化、受けた教育、経験や習慣で形成されます。
時間をきっちり守らなくても良いという価値観の地域に生まれれば、時間に対して大らかな性格になります。
生まれ育った国によって、楽観的だったり生真面目といった性格的な傾向もあります。
社会や周囲の習慣に影響されて作られるので、この社会的性格は環境の変化などによって変えられます。
3.役割性格
社会的性格の上に、職業や地位、立場などの役割を担ったり演じたりする上で形成されたものです。
大学生なら大学生らしく、社会に出れば社会人らしくなど、役割によって作られる性格です。立場が人を作ると言われるものです。
この役割性格は、どの立場にいるのかによって変わります。
職場と家では性格が違う、という人も多いはずです。
人格(パーソナリティ)
広義な意味での性格のことです。
上に書いた社会性格、役割性格の全てが含まれます。そこに能力や倫理観も含めた個人すべての傾向を加えたものです。
人としての在り方とも言えます。
まとめ
- 気質→性格→人格の順に発達する
- 気質は生まれ持ったもの
- 性格は気質に環境や教育が加わって形成されたもの
- 人格は、性格の全てや能力も加えた、個人すべての傾向のこと
入れ子構造については下の記事もどうぞ。
デグー豆知識再び:
デグーは訓練せずに「入れ子構造」の2段階までをすでに理解しているんだって。生まれつきの天才!