ゼロサム思考とは?不幸しか生まない世界観

心の話
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こんにちは。くまの(Kumano@deguneko)です。

ゼロサム思考と言われる認知バイアスがあります。認知バイアスを簡単に言えば「勘違い」です。

このゼロサム思考は損しかありません。嫉妬の元になる考え方でもあります。

そんなやっかいなものですが、多くの人がこの考えを持っています。

  • 自分さえ我慢すれば丸く収まる
  • あいつさえ我慢すれば上手くいく

という考えはゼロサム思考です。

今回の記事では、不幸しか生まない「ゼロサム思考」について書いていきます。

この思考のおかしさに気が付けば、かなり心が楽になり生きやすくなります。

記事の内容
  1. ゼロサム思考とは何か?
  2. ゼロサム思考では幸せになれない!その理由は?
  3. ゼロサム思考をやめれば生きるのが楽になる理由
  4. ゼロサム思考になってしまう原因は?
  5. ゼロサム思考から離れる方法

ゼロサム思考とは何か?

ゼロサム・バイアスとも言われる認知バイアスの1つです。認知バイアスとは、情報を正確にとらえられない原因になる色眼鏡のようなものです。

認知バイアスには、一時的に心を守る、検証する手間を省いて脳疲労を軽減するといった、心を楽にするための機能という役割があります。

バイアスが全くなければ事実をすべて受け止めるため生きづらく、多ければ事実が見れずに生きづらくなります。ある程度把握して適度に付き合っているのが良い状態です。

ゼロサムゲームというものがあります。

全員の得点の合計が常にゼロという方式のゲームです。全員の合計が0なので、誰かが点を取れば、他の人が点を失います。

これを日常に当てはめたものがゼロサム思考です。

幸せや喜びは限られている、なので誰かが幸せになれば他の人は幸せになれないという、まるで椅子取りゲームのような考え方でもあります。

ゼロサム思考では

  • 誰かの幸せのために自分が不幸にならなければいけない
  • 誰かが得をすると、自分は損をする
  • 誰かが褒められれば、自分は褒められない

といった発想になります。

ゼロサム思考では幸せになれない理由

幸せを喜べないから

幸せは増やしていけます。嬉しいこと、楽しいこともどんどん増やせます。

有限なものと決めつけて奪い合えば、幸せや安らぎから遠のきます。

これでは人の幸せを喜べません。人が幸せになれば自分が不幸になるからです。誰かに良いことがあれば、自分は無関係なことでも嫉妬心や怒りの気持ちが湧きます。

同時に自分の幸せも心から喜べません。自分がいい思いをすれば人は不幸になると思います。自分の幸せを他人は妬むと信じ込みます。これでは人の行動や結果をいつも気にすることになります。心も休まりません。

この思考は、自分がどんどん不幸になって誰かを幸せにするという「システム」を自動的に作り上げます。

自己中心的な思考だから

ゼロサム思考で動いている中に、人を優先し気遣っているような人もいます。

それは思いやりではなく、勝つか負けるかの世界観の中で、人に「負けている」ので譲っています。このタイプの人は「勝っている」と思う相手には、とことん強気でいきます。

自分より「勝っている」人に譲っているのと同じように、弱い相手は自分に譲るべきだという信条です。

代表的なものとして、パワハラ・モラハラがあります。

  • 上司にはへりくだり部下にはパワハラをする
  • 外では低姿勢なのに家では子どもにやつあたりする

たとえ低姿勢に振舞っていても「負けているから」気を使っているだけです。無意識には恨みや憎しみのようなものが蓄積しています。

媚びへつらいには憎しみの感情しかないのかもしれません。

この心理状態は、自己中心的です。

勝ち負け、やるかやられるかの世界観なので、自分を守るのに必死です。なのでどうしても自己中心的になってしまいます。

幸せ=誰かを蹴落とすことだから

自己犠牲で我慢をしてストレスを溜めている人がいます。

そんな人に

「そんなに我慢する必要はない、もっと自分を大切にして幸せになって」と伝えた時、そのことに納得すると

「分かった! これからは人を蹴落としてでも幸せになる!」という答えが返ってきます。

自己犠牲をやめる=自分以外の誰かが自己犠牲をする、という発想です。

ゼロサム思考では不幸の数も決まっています。なので自分が不幸でなくなる代わりに誰かが不幸になると信じています。

実際は自分の幸せのためにわざわざ人を蹴落とす必要はありません。みんなで幸せになれば良いはずです。

ですがその「みんなで幸せになれる」という考えが浮かばないのがゼロサム思考の特徴です。

人が得することを極端に嫌がる人がいます。それはケチ臭い考えというわけではなく「人が得をする=自分が損をする」と思い込んでいるからです。

ゼロサム思考をやめれば生きるのが楽になる理由

この認知バイアスに気が付いて抜け出せば、世界は大きく変わります。

川が分岐しています。どちらの流れに進むかで人生の流れが少しずつ変わります。1つの岐路ではそんなに変わりませんが、重ねていくほどに大きな変化になります。

ゼロサム思考のままだと、ゼロサム思考の流れに進みます。

他人は自分の敵でみんなが自分の幸せを狙っている流れです。似たもの同士と言うように、同じような考えの人が同じ流れに集まります。人の幸せも自分の幸せも喜べず、重箱の隅をつつきながら不満を言うような人生へ進んでいきます。

ゼロサム思考ではなく、幸せを増やしていく考えをしていれば、その流れに進みます。

やはり同じような考えの人が同じ流れに集まります。どうすればみんなで得をするのか考え、助け合えるような流れに進んでいきます。

下の流れに乗るためには下に書く「ゼロサム思考から離れるためには?」の、「徳を積んでみる」を参照ください。

ゼロサム思考を持つ原因

自我領域の狭さ

自我領域という心の調整部分が少なければ、白か黒の二極思考になりがちです。

上:自我領域が広く安定している
下:自我領域が狭く、白黒の二極思考のため心が不安定

  • エス:本能や欲求など、心の中の本能的な欲求や生理的な衝動を持つ部分(黒い心のイメージ)
  • 自我:エスと超自我を調整する部分。ここが「自己」だと認識されている(グレーのイメージ)
  • 超自我:道徳的で正しい理想を追い求める部分(白い心のイメージ)

この中の自我は、子どもの頃に親に愛され認められて育ちます。

ゼロサム思考を持つのは「簡単に言えば」保護者にきちんと愛をもらえなかったことが原因です。

親に認められなければ自我の領域は広くなりません。発達もしません。

成長して自分で育てていくことも出来ますが、自分で意識して育てた自我領域と、子どもの頃に無意識的に育ったものとは別物です。

それでも自我の部分を自力で育て、ゼロサム思考から離れていけば楽になります。

自分で育てた自我は、育ててもらったものとは違うメリットもあります。

発達段階の過程

人が成長する中で、どれぐらい成長をしていくかを説明している発達心理学があります。発達過程の中でゼロサム思考を持つ段階があります。

この段階よりも成長すればゼロサム思考から抜けられます。

ロバートキーガンの成人発達理論

ゼロサム思考は、ロバートキーガンの発達理論での発達段階2:道具主義的段階(利己的段階)にあたります。この段階にとっての周囲と自分の関係は、損か得か、勝ちか負けかになります。

クック=グロイターの自我発達理論

クック=グロイターの自我発達理論では、自己防衛的段階になります。この段階についての説明で、以下のように書かれています。

人生とはゼロサムゲーム〔全員の利得の総和が常に0になること〕である。彼らの「私が勝ち、あなたが負ける」という心的傾向

この自己防衛的段階では、単純に二分法「よい・ 悪い」「正しい・間違い」で物ごとを考えます。幸せでなければ不幸、得しなければ損をしているといった判断です。

ゼロサム思考から離れるためには?

徳を積んでみる

徳を積むという考えは、人のためになるような良い行いをすれば徳が貯まり、徳が貯まれば自分にも良いことが起こるというものです。

人のために良い行いをすれば人は得して自分は損をする、というゼロサム思考とは真逆の発想です。

徳を積めば実際に良いことが起こります。運も良くなります。

良いことをすれば良いことが起こるという好循環の中に居れば、良い気持ちになってもっと良いことをしたくなります。

徳を積むのは良いことしかないので、是非下の記事を読んでください。

一人の利益が誰かの損失にならない「ノンゼロサム」

「ノンゼロサム」は、一人の利益が必ずしも誰かの損失にはならないという意味です。

誰かが得をすれば誰かが損をするというゼロサムとは違う世界観です。

誰かがほめられて喜んでいたとします。それを見て嫌な気持ちになるのはゼロサム思考が原因かもしれません。

他の人がほめられても、あなたにとっては得でも損でもないはずです。誰かが良い思いをしているのを見て心がざわついた時は、自分の利害とは無関係だと言い聞かせてみてください。

子どもや学生の頃に誰かと比較され
「○○さんはちゃんとしているのにあなたはダメだ」と怒られることがあります。
これは、人がほめられる=自分が怒られる、という状態です。これもゼロサム思考の原因になります。

どちらも勝つ「ウィンウィン」

「ウィンウィン」は「双方が利益を得る」という経済用語です。お互いが勝利する考え方であるため、一方が損失を被るゼロサムとは対峙する概念です。

子どもの遊びに置き換えてみます。

2人の子どもがおもちゃを取り合ったとします。

この時点では、おもちゃを奪う(得する)か、おもちゃを奪われる(損する)かしかありません。

ですが2人で一緒に遊べば、さらに新たな遊びに発展するなどで両方が得をします。

別の例を出します。

近隣にケーキ屋さんが2店舗あったとします。

この2店のケーキ屋さんが、より自分の所にお客さんが来るように頑張ります。

さらに美味しいケーキの開発をしながらも、相手はもっと良いものを開発しているのではないかと不安になります。

ケーキを買い求めるお客さんの数が決まっていて、より多くのお客さんを獲得する(得をする)か、お客さんの数が減る(損する)か、の世界観です。

ですが、ケーキを買い求めるお客さんを増やすという方法もあります。2店で協力してより良いお店にして評判を呼ぶなどです。

市場を分割し奪い合うのがゼロサム思考で、市場全体を広げるのがウィンウィン思考になります。

まとめ

  • ゼロサム思考は、誰かが得をすれば別の誰かが損をするという考え
  • ゼロサム思考では幸せになれない理由
    • 人が幸せになれば自分が不幸になり、自分が幸せになれば人に妬まれると思うから
    • 自己中心的な考えだから
    • 幸せになるために誰かを蹴落とす必要があると思うから
  • ゼロサム思考をやめれば周囲にゼロサム思考の人が減るので生きるのが楽になる
  • ゼロサム思考を持つ原因
    • 保護者に認められず自我が発達していなから
    • 発達段階の過程
  • ゼロサム思考から離れるためには
    • 徳を積んでみる(←お勧め!)
    • ノンゼロサム、ウィンウィン思考を身に付ける
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