こんにちは。くまの(Kumano@deguneko)です。
無意識という言葉は日常でも使われています。
そのために、いざ無意識について考えようとしても定義が曖昧でよく分からなくなります。
今回の記事では、無意識を
- 「潜在意識」「無意識」「集合的無意識」の3層
- 5つの分類
により解説します。
「意識」と「無意識」
意識・無意識を簡単に書くと
意識:自分で認識・自覚出来る心の部分
無意識:簡単には認識できない心の部分
です。
水面に頭を出している氷山の一角で、全体の10%が意識で
水面下にある、全体の90%にあたる大半が無意識です。
心のほとんどが無意識の部分なのに、それは見えません。
意識とは
意識には2つの意味があります。
1つは認知しているもの、つまり意識できている部分のことです。
もう1つは、自分自身という基盤です。気を失ったかどうかを、意識があるかないかと表現します。
電車の中でぱったり眠ったとして、周囲からは意識がないように思われます。それでも本人は眠って夢を見ていて、「夢を見ているという意識」が本人にはあります。
無意識とは
無意識を一言で表せば「見えない」部分です。
意識 ↔ 無意識
顕在意識 ↔ 潜在意識
といったように、通常は無意識と潜在意識は同じ意味として扱われます。
ですが無意識の階層を
- 潜在意識(subconscious)
- 無意識(unconscious)
- 集合的無意識(collective unconscious)
の、3つに分けるという考え方もあります。
潜在意識
潜在意識は外部からの情報を貯め込んでいます。意識して見聞きしたものの他に、気付かずに感じ取ったものも含めての多くの情報です。
和菓子職人が「勘で」その日の湿度や気温によって材料の配合を変え美味しい餡を作るのも、顕在意識に貯めた多くの経験の情報からです。
無意識よりも顕在意識の方が上の階層にあるので、意識からアクセスしやすいものになっています。
無意識
集合的無意識と個人的無意識をつなぐものです。
集合的無意識からの情報をキャッチし情報を貯めておく場所です。同時に潜在意識の情報を集合的無意識に送る役割もします。
- 顕在意識(意識)の情報は、潜在意識から無意識へ、そして集合的無意識に流れていきます。
- 集合的無意識の情報は、無意識から潜在意識へ、そして顕在意識(意識)に流れます。
ムシの知らせやシンクロニシティ(意味のある偶然)は、この仕組みで発生します。
何故かいつもは行かないスーパーに行きたくなり、そこで偶然大好きなアイスクリームの特売をしていたとします。これは一種のシンクロニシティです。
この仕組みは、
店側:「今日はアイスクリームの特売だ」という意識が、集合的無意識まで流れていきます。
客側:「アイスクリームが食べたい」という気持ちが集合的無意識まで流れ、特売の情報と共鳴します。そのことで集合的無意識から顕在意識(意識)まで届きます。
といった形で起きています。
集合的無意識
普遍的無意識とも呼ばれています。
現代に生きていて、知りえないような太古からの記憶が呼び起こされるのも、集合的無意識です。
他の人とも繋がっている部分で、ここにアクセスすることでムシの知らせを受け取ります。
無意識の5つの定義
主に使われている「無意識」は5種類です。
- 抑圧されたもの
- 気付いていない、未知のもの
- 「意識」せずに行(おこな)うもの
- 集合的無意識
- 本質を隠しているもの
1.抑圧されたもの
病理心理学の考え方です。
人は自分の心を守るために、トラウマや自覚したくない自分自身を無意識に抑圧します。
これを防衛機制(適応機制)と言います。
- 抑圧:自分の中にある欲求や嫌な感情を無意識の中に押し込め、なかったことにする
- 退行:幼児期に戻った未発達な段階の行動をとる
- 反動形成:好きな相手にそっけなくしたり、嫌いな相手に丁寧に接するなど
- 分離(隔離):つらい気持ちなのに明るく振舞ったり、悲しいのに冷静に行動する
- 打ち消し:相手に傷つけるようなことを言った後、急に優しくなる
- 投影(投射):自分が相手を嫌っているのではなく、相手が自分を嫌っていると考える
- 取り入れ:憧れている相手を真似したり同じような振る舞いをするなど
- 置き換え:攻撃の対象を他に向ける、やつあたり
- 転倒(逆転):好きな人に拒絶されて逆恨みするなど
- 昇華:欲望や攻撃性を受け入れられる形として表現するなど
2.気付いていない、未知のもの
発達心理学的な考え方です。
無意識の中には、未知の領域が多くあります。
その中には、気付いていないために活かせていない才能や可能性も埋もれています。
それらに気付くためには、その才能を使いこなすための「成熟」が必要になります。
気付いていないだけなので、抑圧ではありません。
3.「意識」せずに行うもの
日常でよく使われる「無意識」です。
自転車に乗れるようになる過程が、これに当てはまります。
自転車にまともに乗れない間は、バランスをどう取るか、バランスを取りつつどうペダルを踏むかを精一杯「意識して」練習します。
上手く乗れるようになり、慣れてくれば、勝手にバランスを取り漕いでいきます。自転車の操作は「無意識に任せて」、意識では歩行者や車の動きに気を付けている状態になります。
習慣でついやってしまうものもこれです。「無意識のうちに○○をしてしまった」などがあてはまります。
4.集合的無意識
分析心理学の中心的概念です。
スイスの心理学者カール・グスタフ・ユングは、無意識を
- 個人的無意識
- 集合的無意識
の2つに分けました。
個人の無意識より更に深い領域に、様々な時代や民族に共通したものがあるという概念を提唱しました。
5.本質を隠しているもの
システム思考的な考え方です。
思考の癖や偏見などがこれにあたります。
偏見や色眼鏡、フィルターを通して物ごとを見ても、見ている本人にはその色眼鏡には気付きません。
この場合は
- 意識:色眼鏡越しで見ているもの
- 無意識:本質を隠している色眼鏡(無意識的に色眼鏡をかけている)
と、なります。
物ごとを浅い部分で見ている人は、深い部分にまで見ません。浅い思考の癖・パターンに気が付いていないからです。
この場合は
- 意識:浅い思考で見えているもの
- 無意識:浅い思考の癖(無意識的に浅い思考をしている)
と考えられます。
氷山モデルというシステム思考を例に出します。職場の先輩で、怒ってばかりの人がいたとします。
- できごと:あの人はすぐに怒る
- パターン:失敗して報告しない時に怒る
- 構造:忙し過ぎて手一杯の所にミスのフォローをしなければいけない
- メンタルモデル:人出不足な上に、仕事を教える余裕がない
1.なら「怖い先輩、苦手だな」
2.なら「ミスした時はまず報告しよう」
3.なら「ミスの報告はもちろん、先輩の手間が少なくなるようにしよう」
4.なら、「自ら仕事を習い覚え、出来るようにしよう」
一例ですが、このような考えになっていきます。
1.の「怖い先輩」と思っている人は、先輩の抱えている状態を知りません。この部分を
invisible(通常は見えていないもの)=無意識と定義しています。
まとめ
- 意識は知覚・認識できるもの、無意識は見えないもの
- 無意識は以下の3つに分かれる
- 潜在意識:外部の情報を貯める
- 無意識:個人的・集合的無意識をつなぐもの
- 集合的無意識:他者と繋がり、人が普遍的に持つもの
- 無意識の5つの定義
- 抑圧されたもの→病理心理学
- 未知のもの→発達心理学
- 「意識」せずにするもの→日常的に使われる「無意識」
- 集合的無意識→分析心理学
- 本質を隠しているもの→システム思考