【インテグラル理論】「ティール」が楽に生きる方法

発達心理学
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本日2020.9.22.トランスパーソナル心理学の学会主催のセミナー

「ティールとは何か ― 人と社会の変容を生み出すための方法」

に参加してきました。(ZOOMでの開催でした)

参加して改めてティールについて考えました。今回の記事ではそのことについて書いていきます。

  • インテグラル理論とティールについて
  • ティール段階に至る方法
  • ティール段階が生きづらい理由
  • ティールが楽に生きていく方法
  • ティールが出来ること

インテグラル理論の「ティール」とは?

インテグラル理論とは?

アメリカの現代思想家ケン・ウィルバーが創始した理論で、トランスパーソナル心理学の中枢をになっているものです。

物の見方に対する方法論として、インテグラル理論があります。インテグラル理論という「理論」ではありません。

インテグラル理論について、上の記事で簡単に解説していますので、興味がある方は読んでみてください。

ティールとは?

インテグラル理論では「レベル」という発達段階が示されています。その中に「ティール」と言われる段階があります。

成人人口の1%にあたる、発達段階のかなり上の部分です。

統合的段階のことで、心身の統合が出来てくることから、ケンタウロスとも呼ばれています。

俯瞰(ふかん)能力を身に着け、人よりも気付きがある段階です。多くを理解し、社会のシステムをしっかり把握できています。

3人以上で作られた「場」を読むことが出来ます。1つの出来事に対し、その後多くの人がとる言動を予想します。

その能力によって、簡単なシステムを構築し、古いしくみを再構築できます。

各段階を単純に記すと以下のようになります。

レッド:自分の価値観が中心な子供っぽい人
アンバー:社会や組織に忠実で自分の意見を抑える人
オレンジ:目標に向かって生き生きと進み、みんなを引っ張る人
グリーン:全てのものを認め受け入れる人、システムの理解段階
ティール:高い俯瞰力を身に着け、初歩的なシステムが構築できる

発達段階とは?

人間の成長過程は、ある程度共通点があります。その過程での共通点を段階「区分」として、発達心理学で説明されます。

ロバートキーガンの成人発達理論でも、5つの発達段階が示されています。

ティール段階をキーガンのものに置き換えると、発達段階5にあたります。

ティールが生きづらい理由

平均を大きく超える「過ぎた」能力は、生きづらさの原因になります。

典型的な例として、IQの話を書いてみます。

高IQは生きづらいというのは、有名な話ではないでしょうか。

高IQは、いわば頭が良いということです。平均が100で、東大生の平均は120と言われています。頭が良ければ生きていくのが楽と思われそうですが、高すぎるIQは負担にもなります。

特に生きづらいと言われるIQは140あたりからです。ここら辺になれば周囲との価値観が違います。世界の見え方も別物です。

その結果社会に適合できず、「うつ」になるなどの弊害が生じる場合もあります。

ティールも、多くの人と価値観が違うため、社会不適合に成り得ます。

適合を試みても、高すぎる能力は社会生活では持て余します。出る杭は打たれるということで潰されます。

「お前は知り過ぎた」ではないですが、搾取側にとって都合の悪いことに気が付くために、社会的な生命を狙われることは少なくありません。

高機能すぎるラジオのように、多くの音を拾うけれど雑音も多く、とにかく心が疲れやすい状態です。

現在の社会で多くの人が目指すのはオレンジです。自分の考えを持ち、みんなを引っ張り生きがいを感じるという、「いわゆる」理想の生き方を実現させる段階です。

ティールについて

発達段階に関する誤解

発達段階は、人間の成長度合いを示したものになります。そしてティールは発達段階のかなり進んだ状態です。

そのティールについて解説する前に、発達段階のよくある誤解を書きます。

発達段階を上げて、成長すればするほど良いと思われがちですが、それは誤解です。

さらに言えば、

発達理論は人間を「ランク付け」して評価するものではありません。

発達理論は決してそのようなものであってはいけません。発達理論をそのように解釈しているならば、完全な誤解です。

もっと言えば

発達すれば良いというものではありません。発達してはいけないというものでもありません。

具体例を書いてみます。

発達段階ではかなり下の部類になるもので、インテグラル理論のレッド、キーガンでは発達段階2という区分があります。

魅力的なアニメの主人公が、この段階なことは少なくありません。

ONE PIECEのルフィ、ドラゴンボールの孫悟空といえば想像していただけるのではないでしょうか。

大切なのは、発達段階のどの位置にいるかではなく、どれだけ筋を通して生きているかです。自分の無意識に対し正直に生きているとも言い換えられます。

どの段階にいても、これが出来ていれば目標にたどり着く道が出来ていきます。発達段階の上部でしか成さないと言われる「有用なシステム作り」「徳を循環させて多くの人を幸せにする」という事も可能です。

レッドの段階ならば、考えて作りあげるのではなく、本能的にやってのけるといった感じです。

実現方法が、各段階によって違うというだけです。

なので発達段階区分は、自分の目標を達成する方法の違いと言い切っても良いと、私はそう思います。

人がティールに至るまで

インテグラル理論の創始者であるケン・ウィルバーは、ティール段階を説明する時に映画の「マトリックス」を例に挙げています。

マトリックスの世界は仮想現実です。人々は、流された電気信号によって仮想現実の中で生かされ続けています。そして目覚めることなくその世界で一生を終えます。

主人公はこの異常事態に気が付いています。

考え方によっては、気が付かずに仮想現実の世界で生き続けるほうが、楽で幸せです。

それに気が付いたのは、「不幸」であり「生きづらい」原因になります。

人が生きていく中で、ここまでの気付きにはめったに至りません。

そのきっかけになるのが、

  • 自分の価値観をくつがえすほどの衝撃体験
  • 全てを失うような出来事
  • 生死の保障もない危機的な状況

といった、決して出会いたくないような体験です。アイデンティや人生観の崩壊をまねくような事態に直面する経験、とも言えます。

この体験をした時に、人が進む方向は3つです。

  1. 気が狂う、精神崩壊する
  2. 悪の方向に進む、人生から逃げる(いわゆる悪いティール)
  3. 俯瞰(ふかん)力を身に着け気付きで状況を良くする(いわゆる良いティール)

1.は、説明不要かと思います。

2.は、多少の俯瞰力を持った状態で、いかに人を騙すか、周囲を落としても自分に有意な状態に持っていくか、つまり搾取の方向にはしります。

3.これがティールです。苦労を背負いつつ、見えたり気付いたことを使って状況を良くしようとします。

ティールが楽に生きる方法

インテグラル理論の役割の1つが、不幸にもティール段階(以上)に至った人に対し、いかに「楽に」生きていくかという方法の提示です。

気付きに対し、その意味や活かす方法についての「考え方」や「地図の作り方」を知ることが出来ます。

社会の流れを決める要因の1つが、良いティールと悪いティールのせめぎ合いの結果がどうなるか、です。

例を出せば、良い政治家と悪い政治家のどちらが実権を握るかで、国の今後が左右されるといった感じです。

天の意向、言い換えれば多くの人の集合的無意識は、良いティールの味方をしている状態だと感じています。もし悪いティールに天意があれば、完全に分かりやすいくらいの、ディストピアの世界になっています。

後はどれだけ良いティールの目指す世界が現象化されるのか、人がその考えを理解出来るのかにかかっているのではないでしょうか。

政治だけではなく、もっと小単位のコミュニティでもそれは重要な要素です。

多くの人が、良いティールの「先導をきる」「勇気を持って発言し行動する」ことに対し、どれだけ賛同出来るかも大切だと感じています。少なくとも邪魔をしないことが肝心です。

ティールのそういった行動に対し、妬みによる陰口、足の引っ張りを試みるといった「シャドウ」に囚われていれば、いつまでも状況は良くならないし、長期的に見ればその本人も損をする行為なんですよね。

偽善者だとか、目立つことで自分だけいい思いをしようとしているとか、たまたま状況に恵まれて成功しているとか、そのような気持ちはシャドウからきています。

シャドウとは、自分が抑圧している部分で、「自分では認めたくない自分」です。シャドウが表に出る時は、酸っぱい葡萄(ぶどう)といったひねくれた形をとります。

生きづらいティール

「悪いティール」になれば、短期的に見れば得をするように思うかもしれません。ですが天意はそのような生き方に対し良い判断をくだしません。

筋を通さない生き方は、心に歪(ひずみ)を作り出します。本人は気が付いていなくても、それが心の苦しみになり、痛みになっていきます。

ティールが楽に生きる方法

ティールが楽に生きる方法は、当ブログ的に言えば「いかに徳を積むか」です。

長期的に見れば、「正しい方法」が一番上手くいきます。

例えばテストで良い点を取りたい時に

  1. カンニングなどの何らかの不正をする
  2. 一夜付けの勉強
  3. 普段からしっかり勉強する

の3つの選択肢があるとします。

カンニングや事前にテスト問題の入手などの不正を行えば、楽に高得点がとれるかもしれません。ですがバレるリスクがあります。進学先を決める受験などの時に、勉強していないことで苦労します。

一夜付けも悪くはないかもしれませんが、長期的な学力では伸び悩みます。

普段から勉強していれば、勉強について今後のいかなる事態にも対応できます。

なのでティールに至ってしまったのなら、その気付きを良い方向につなげていくことが、ティールが楽に生きていく方法です。その理由として以下のものがあります。

  • 自分の心が楽になる(良い行動が心の幸せに直結するという実験結果も多く出ています)
  • 目標が実現しやすくなる
  • 天意が見方をする

ティール段階に至れば、苦労する人生は確定です。

その苦労を長期的に見た「自分の幸せ」に使うというのが、ティールにとって一番楽な方法です。

同時に周囲の人々の幸せにつながります。良いことしかありませんよね。

周囲がいかにティールを攻撃しないか、足を引っ張らないか、にかかっている部分もあるので表面的な幸せに繋がるかどうかという問題はあります。

ティール段階の人が出来ること

インテグラル理論に造詣が深い、教育哲学者であるザッカリー・スタイン(Zachary Stein)の論文が今日のセミナーで引用されていました。この話に感動したので、私なりの解釈を入れつつ書いてみます。

これは、ティールの人に「このように在れ」という意味ではなく、ティールの人が気付いていても言語化しにくい部分を書いています。

「みんなで強くなろう」「発達段階を進めよう」という考えの危険性について。

耐久性、くじけない力、ストレスに折れずにやりぬく力、これを持っていなければいけないという前提はおかしいということです。

これを全ての人に強要される現状は、正常でも健全でもありません。

全ての人が必ずしも強く生きていけるものではないし、そのことに価値観を見出すとも限りません。努力が必ず報われるとも限りません。その結果くじける人も出てきます。

そのような人々の居場所をなくして、強いことこそ素晴らしいとか、気力至上主義(気力があればなんでも解決できるという考え)という言動は、巡り巡って自分の首を絞めていきます。

強くなってストレスにも耐えて、誰が作ったのかもわからない社会や物語の中で「勝ち組」になることが人間の成長ですか?という疑問に対し

このような呪縛から逃れることが「成長」だと、結論が出されていました。

例え話です。

本当の意味で「お金に困っていない」「金銭的に恵まれている状態」というのは、「お金のことを気にしない」ということです。

たとえば、スマホを買う時にお金に関係なく自分の好みや必要な機能で選べるなどです。

最新式の高価なものを買いたいと思うのは、金銭的には多くを持っているのでしょうが、お金の呪縛からは逃れられていません。

ティールを所有しているお金で言い換えれば、多くを持っている状態です。

ティールが実際にお金に恵まれているという意味ではありません。たとえ話とご理解ください。

それに対し、その呪縛はおかしいのではないかという価値観を提示するのがティールの役割とも言えます。

社会の価値観は、お釈迦様の手のひらに例えられます。その手のひらの上で頑張ったり努力するのが、社会で生きていく現実です。

その手のひらが歪んでいる、病んでいるものであれば、努力しても搾取されるだけかもしれません。進んだ先が絶望だったり虚構かもしれません。

手のひらが歪んでいるという気付きは、ティール段階のものです。何なら手のひらを創ることもできます。

歪んだ手のひらを作った人から排除されます。手のひらの上に居る人に非難されることも多くあります。そのことに留意しつつも、ティールが楽に生きる方法として、何らかの提示をしてほしいなと思っています。

まとめ

  • ティールは3者以上の「組織」の動きが理解できる
  • ティールに至るためには衝撃的な体験が必要
  • ティールは多くの人と見える世界が違うため理解され辛い
  • 気付きが多いために心理的負担が多い
  • 発達の成長よりも、無意識に正直なことが大切

私がティールにいるのかと問われれば、目指している状態といった感じです。

これは発達段階を進めたいという価値観からではなく、単純に趣味嗜好によるものです。私が尊敬している人の多くがここにいるのがその理由です。

ただ、ティールの考えや視点がある程度は理解できるのかな、とは思っています。そしてティールを応援できる立ち位置でいることを心がけています。

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