正義の味方が悪を殴っても良い理由は?【心理学的考察】

発達心理学
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勧善懲悪(かんぜんちょうあく)と言われる、「善良な人や善良な行いを勧め、悪者や悪い行いを懲(こ)らしめること」をテーマにした話しがあります。

その中で、悪を懲(こ)らしめる手段が「暴力」であるものは少なくありません。

正義の鉄拳と言われるものです。

それこそ、「暴力がダメだ」と「暴力で教える」ような感じです。

「人を差別するやつを差別する」
「悪口を言うやつは嫌いだ」
「健康のためなら死んでもいい」

に類似する矛盾を感じるかもしれません。

カタルシス(心に溜まったわだかまりなどを解放する)を得るために、物語りとして楽しむ分には良いのでは、というのがよく言われている話だと思います。

今回の記事では、

この、正義(善いもの)が悪を懲らしめる目的で、暴力(悪いこと)をふるうのが良いのかどうかについて、発達心理学を元にした考察を書いていきます。

回答、解説ではなくあくまでも【考察】であることをご留意ください。

正義の味方が悪を殴っても良い理由は?

発達心理学での見解です。人が成長する・発達段階を上げるために必要な要素として「悪を懲らしめる」過程がいると考察します。

正義の味方が悪に行う暴力行為は、悪にとって為になる行い、愛のムチと考察します。

発達心理学とは、人の成長の過程を心理学で研究・分析している分野です。発達過程にはいくつかの「特徴付けられる段階」に分けられます。発達を段階区分で説明しているものが発達理論です。

悪役の発達区分はどの段階?

勧善懲悪(かんぜんちょうあく)の世界での悪役が、この発達段階にいると思われます。

ドラえもんのキャラで言えば(映画版ではなくアニメ版です)

ジャイアン:ガキ大将で、暴力で欲しいものを奪う
スネ夫:自分より強いものに媚び、弱いものに横暴な態度を取る
のび太:不利な時に強いものに泣きつき、有利になれば偉そうにする

この3人が発達段階2・レッド段階(以下発達段階2と略します)の代表です。

この発達段階2の特徴は、

  • 自己中心的で相手の気持ちを考えられない
  • 弱肉強食の世界観で、人を自分の敵か味方で判断する
  • 自分にとって損か得かでものごとを考える

といったものがあります。パワハラ上司などもこの段階の典型例です。

自分より強い者の存在を示すのが悪行を止める手段

発達段階2が、わがままで自分勝手な状態を正す・止めるのは、自分よりも強い者に対してです。

ジャイアンを思い浮かべてください。

誰に対しても横暴に振舞い、力ずくで自分の欲求を通します。ですがカーチャンや担任の先生には自分の意見を主張できません。すぐに謝り悪行を止めます。

この2者が、自分よりも強いと思っているからです。

発達段階2は、平和的な解決や説得で分かってもらうのは無理な段階とさえ言われます。弱肉強食の世界観なので、自分より強い者の言うことしか聞き入れません。

ジャイアンに対し「叱らない教育」や「分かってもらえるまで待つ」という方法しかとらなければどうなるでしょうか?

カーチャンに怒られることで思い留まっていた、理性的な部分さえもなくなります。ますますワガママになり、犯罪行為を繰り返すようになるかもしれません。

スネ夫がある程度常識的に行動できるのは、自分より強い者が何人もいるからだと思われます。

この段階にとって自分より強い者の存在が、理性を持つ、自分を律するものになります。そうしなければ制裁を下されるので、それが嫌だからです。

発達段階2の悪行に対し、強さで抑えつけないことは逆に悪いことという考え方もできます。

正義の味方が悪に「暴力」を振るうのは、暴力で負けることでしか悪い行動を止めないからです。

話し合いを持ちかける、言葉で説得する、情にうったえる、ということをしても悪いことをやめません。なので殴ります。

言っても分からないなら、他の手段で分かってもらうしかないという理由だと考えられます。

「悪い奴に暴力をふるうべきだ」と言っているわけではありません。

どちらかと言えば、「悪いことをしたやつに強い人が「悪いことだ」と教えるのはやむを得ない」といったニュアンスです。

暴力が発達段階を上げるきっかけになる可能性がある

人が成長・成熟していくことは発達段階を上げることに繋がります。

キーガンの成人発達理論を簡単に書くと以下のようになります。

  • 発達段階2→まだまだ子供
  • 発達段階3→我慢を覚えて空気を読み大人になった
  • 発達段階4→みんなを引っ張る頼もしい大人
  • 発達段階5→酸いも甘いも噛み分けた大人

発達段階がある程度上がったほうが、周囲はもちろん、本人が楽に生きていけるようになります。

発達段階が上がる条件は「今のままではいけない」「そのままではいけない」と本人が自覚することです。今のままで何も問題がなければ、変化しようという発想さえ持ちません。

きっかけとしてあるのが

  • 発達段階3→人の言いなりでいいのか?自分はどう生きたいのか?という疑問
  • 発達段階4→これで正しいのか?もっと良い解決方があるのではないか?という疑問

です。これらの疑問を、自分の中から湧く、人から問われるなどで持つことで、成長や成熟のきっかけになります。

発達段階2が、今の自分に疑問を持つ条件が、

自分より強い者に自分の行動を邪魔される、止められることです。思い通りにならないので、この条件を打破しようと思います。

まず

  • 自分が相手よりも強くなり、行動を止められないようにする
  • 一旦はやめて、強い者に隠れてその行動をする

あたりを思いつき実行します。

発達段階が上がるのもそのままなのも、本人次第です。ここから成長しないこともあります。その時は「暴力」は悪行を止めるだけのものになります。

ですが中には、思い通りにならない経験を繰り返した結果、次の段階に進む場合もあります。

我が儘を通すよりも、協調した方が生きやすいという結論に至る
欲しいものを、誰にも迷惑をかけない方法で手に入れようと思う

などです。

人に迷惑をかける、つまり人に依存して欲しいものを手に入れるより自力での方が自由だと気が付きます。

人にねだって買ってもらう、持っているものをもらう、よりも自分でお金を貯めて買った方が自由に手に入ります。

まとめ

発達理論で言われていることを元に考察すれば、正義が悪を殴るのは

  • 悪行を止める手段が暴力しかない
  • 悪行を止め続けることで、悪が改心するきっかけを与えている

という理由からです。

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