こんにちは。くまの(Kumano@Rpgmg)です。
インテグラル理論は難易度が高いと言われています。
ですが、ざくっとでも概念が分かれば、物事に対する見方が変わり、得られる情報も増えます。
何よりも、今まで生きてきた中で、分からなかった疑問点や感じていた矛盾点が、サクサクと解けていきます。
インテグラル理論との出会いは、雷に打たれたような衝撃をもたらします!!
今回の記事では、そのインテグラル理論をザックリと、イメージで、簡単に、説明します。
本物に対して、ものすごく単純にデフォルメしたものとご理解ください。
インテグラル理論とは?
アメリカの現代思想家ケン・ウィルバーが創始した理論で、トランスパーソナル心理学の中枢をになっているものです。
インテグラル理論とは、ある物事に対する「見方や分析」「考え方」「とらえ方」の方法を提示している地図のようなものです。
物の見方に対する方法論として、インテグラル理論があります。
インテグラル理論という「理論」ではありません。
インテグラル理論の概要
インテグラル理論で押さえる基本はたった3つ!
この3つをおさえれば、とりあえずインテグラル理論の全体が見える!(…かも?)
1.5つのものの見方
ものを見ていくのにこの5種類の方法がありますよ、的なものです。
- 4象限:1つの事象を4つの方向性から見てみようという例を示したもの
- レベル:どれだけ人間が成長出来ているのかの段階を示したもの
- ライン:仕事は成熟しているのに、勝負事はダメダメよね、等
- タイプ:あの人は外交的だけれど慎重なタイプ、等
- ステート:寝ているとか起きているとかの意識状態
2.統合という考え方
食事は栄養も大切、味も大切、食べる環境も大切。どれが必要でどれがいらないとかってないよね。
3.メタ認知
マリオとして障害物を乗り越えるのではなく、マリオを操るプレイヤーになろう。
何なら「マリオをプレイする人」を見ている側になろう。
っていうか、なんでマリオをやるの?そもそもマリオをやる必要があるの?
5つのものの見方
4象限
物事を、下の4種類の視点からとらえるというものです。
例えば「仕事がつらい、職場に行くのが苦痛だ」という相談を受けたとします。
そこで、4象限を使ってつらい原因を考えます。
- 個人の内面:仕事そのものが嫌なのか
- 個人の外面:仕事内容がキツク能力的に厳しいのか
- 集団の内面:職場の雰囲気、人間関係で問題があるのか
- 集団の外面:給与や待遇に納得がいかないのか
この相談を持ち掛けられた理由や、退職を勧めてほしいのかな?などはメタ認知の範囲になります。
この4象限を意識して、生活を充実させていきましょう、という使い方もします。
- 個人の内面:心の健康状態は良好か?
- 個人の外面:体は健康か?体に良いものを食べ運動しているか?
- 集団の内面:充実した人間関係を築いているか?
- 集団の外面:職場や趣味の場などで良い場所、良い地位にいるか?
これら4つ全てが充実するというのは難しいものです。なのでまず、偏りの指標として使ってみてください。
この4つのうちどれかに偏見を持ってしまっている場合は多いものです。ありがちなのが「個人の内面」と「集団の外面」の対立です。
仕事に対して
個人の内面:やりたいことをやるんだ。金の為だけなんて魂を売っているようなものだ
集団の外面:とにかくお金と地位と名誉だ。夢や希望なんて腹の足しにもならない
と、いう極端な2つの考え方があります。
実際にはここまでのパターンはないのでしょうが、完全に偏っています。あえて1つの象限を否定して、充実した生活から遠のいています。
レベル
人がどれだけ成長したのかという、発達段階区分を示したものです。
世の中には、多くの発達理論があり、内容も色々あります。その様々な発達理論の「共通する部分を抽出したものは、確実に正しい発達段階を示している」という観点の元につくられたものです。
ここでは簡単に説明します。
レッド:人の立場に立てない自己中心的な人
アンバー:社会や組織に忠実で自分の意見を抑える人
オレンジ:目標に向かって生き生きと進み、みんなを引っ張る人
グリーン:全てのものを認め受け入れる人、システムの理解段階
ティール:高い俯瞰力を身に着け、初歩的なシステムが構築できる
「ティール組織」とは、このティール段階のことです。
ライン
同じ人物でも、分野によって発達段階が違うよね、というものです。
1.趣味のスポーツでは、リーダーとして引っ張りファインプレイなのに、職場ではただ大人しく真面目に仕事をこなす人。
2.家ではわがまま放題で自分勝手なのに、学校では目立たない生徒という人。
3.男女関係では相手を束縛したがるのに、職場の後輩に対しては自由な行動を許しマネジメントに専念する人。
1は、趣味がオレンジ、職場がアンバー
2は、家ではレッド、学校ではアンバー
3は、男女間はレッド、職場ではグリーン
書いてあることだけで見ると、上のように段階分けが出来ます。(人を単純に段階分け出来るものではありませんが、あえてデフォルメして書いています)
タイプ
(これについて、ウィルバーはそんなに重視していないのでは?という見解も聞いています)
ユングの理論を元にして出来た、MBTI 16タイプ診断が有名です。
なかなか面白いので、軽い気持ちでやってみてください。
ステート
ステートの考え方は2つです。
ステートの考え方1:
同じ人でも、時によって集中力が高い時もあれば、ぼんやりしていてうっかりミスを連発する時もあるよね、といった事です。
人は常に同じ意識レベルで行動できないので、その点も留意して考えたり観察したりしましょうね、というものです。
ステートの考え方2:
寝ている起きているなどの意識状態の差についての考えです。
意識状態を大きく3つに分けて考えます。
- 起きている状態
- 眠っている状態(夢を見ている)
- 眠っている状態(夢さえ見ない深い眠り)
インテグラル理論では、起きている時だけが現実なのではなく、むしろ深い眠りこそが「もっともリアル」な状態と考えます。
何を言っているんだ?と思われるかもしれませんが、
瞑想の話です。
瞑想に限った話ではないのですが、夢を見ない深い眠りのような意識状態に、意識を持ったまま入ることを推奨しています。
それこそが、本当のリアルではないかということです。
「統合」という考え方
強引に言ってしまえば、インテグラル理論の根本はこれです。(インテグラルって「統合的」という意味ですしね)
1つの物事だけではなく、様々なものを統合することで、可能性を広げ成長し健全になりますよ、ということです。
ただ、目についたものを何でも思いつくままに組み合わせるのではなく、多くを学び、その中から統合するものを選びましょうね、とも言っています。
大学や院などで、心理学を専門的に勉強したとします。
フロイトの授業が終わりました、次はユングです、と次々と違う心理学者の理論を学んでいきます。各授業で言っている内容が微妙に違います。お互いの理論を否定し合っている場面すらあります。
同じ「心理学、心の内面」の授業のはずなのにこれでは矛盾した状態です。
その矛盾をなくすために、2つ(以上)の理論を合わせて考え肯定し合います。
何か1つの理論には限界があります。
ある理論について「何が出来ないのか」「何が分からないのか」を起点に、別の理論に助けてもらうイメージです。
2つの理論が合わさった時、1+1=2 ではなく、特異点のようなものが生まれます。それが統合した成果の1つです。
スポーツをやる時でも、体力を鍛えるだけでなく、瞑想などを合わせて集中力を付けると成果が上がり、より成長しますよ。
その時は「ダイナミックバランス」と言って、多少何かに偏ったバランスで集中しながらも、振り子のように元に戻っていきましょうね、といった感じに進めていきます。
Growing Up(成長、発達) とWaking Up(気付き、覚醒)についても、どちらか片方を重視するのではなく、両方を合わせて進んでいきましょう、という趣旨をのべています。
メタ認知という考え方
物事は広い視野で見ましょうね、俯瞰(ふかん)視点を持ちましょうね、というのがまずあります。
その上で、その物事を見る行為そのものから意義を考えていきます。
ある行事を残しましょう、残すためにはどうすればいいですかという議論について、
その行事を残す意味や、もっと良い代替え案はないのかといった事も含めて検証します。
メタ認知のためには、多くの前提が必要です。
その前提となる考えが、インテグラル理論で説明されています。
- 5つのものの見方(4象限、レベル、ライン、タイプ、ステート)
- 「超えて含む」という成長の考え方
- 4つの行動変容
- 超える事と戻ることの混同
など一部ですが、このような考え、見方があります。
このような考えの多くを理解するほどに、視野が広がり深さに気が付くようになります。そうしてメタ認知が出来るようになります。
超えて含む:
小学生から中学生になる時、小学校時代の経験を身につけたまま、その上で中学生になります。小学校時代のものを全てなくし、新しく中学生になるわけではありません。
小学生=小学生
中学生=小学生+中学生
高校生=小学生+中学生+高校生
になります。超えると同時にそれを含んでいる状態です。
変容:
達成→不協和→洞察→解放の順にすすみます。
1、達成→何かを成しえて満足している
2、不協和→このままではいけないという不安感
3、洞察→行動する前に目標を決めるなどの脳内変化、脳内改革
4、解放→目標に向かって一気に進んでいく
人はこの変容の中のどこかにいます。「2、不協和」の状態が長く続けば心が疲れます。
超えることと戻ることの混同:
ロバートキーガンの成人発達理論で考えます。
発達段階2(自己中心的でわがまま)と、発達段階4(みんなを引っ張るリーダー)は、自分軸で行動するために混同されがちです。
自分の意見をはっきり言えず、言いなりになりがちな発達段階3の人が変化する時に
皆と調和しながら自分のやりたいようにやるか(段階3→4への成長)
ただ自分の意見を押し通すのか(段階3→2への後退)
この「超えるか戻るか」が、とても混同しやすいので気を付けなければいけません。
まとめ(インテグラル理論お勧めの本)
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