友野一希選手といえば、2018年の世界選手権での試合がかなりの衝撃でしたね。代打ながらも5位(フリーでは3位)に食い込み、3枠取得にも貢献されました。
友野一希選手の感覚について思う事
友野選手の特に秀でている所は、感覚の「綺麗さ」だと私は感じています。
これは、○○選手よりも友野選手の方が綺麗といった比較ではなく、綺麗さの種類そのものが違う。しいて表現するならば、筋斗雲に乗れるほどの綺麗さ。
そして感覚が個性的であるほどに、苦労する事があると思います。それにしっかり向き合い、自分を受け入れ周囲を受け入れる強さが、この綺麗さを際立たせているように見えます。
受信型か送信型かで言えば送信型の感覚。
自分のために生きるか人のために生きるかで言えば、人のために生きる魂。
なので彼の演技は、物凄く綺麗な感覚を、観客のために、がっつり送り届けて
くれているわけで、彼の演技にエネルギーをもらって心が救われているファンの方も多いはずです。
感覚の綺麗さ
友野選手の感覚の綺麗さは、素直さとも言い換えられます。もっと言えば「捻くれる」という概念すら持たない感覚です。
このような感覚の人が「捻くれている」と自己評価した場合でも、世間でいう所の捻くれとは違います。
これは一見うらやましい感覚にも思えますが、生きて行く上で苦労を伴う場合があります。
人が捻くれてしまうのには理由があります。事実を真っすぐに捉えない事でワンクッションを置き、心のダメージを和らげるためです。プライドを守ったり、認めたくない事実から目をそらせる効果もあります。
ずっとその状態が続くのは良くありませんが、一時的に心を守る方法としては有効です。
その安全機能を持たないのは、つらい事をダイレクトに心で受け止めなければいけないという事を意味します。
対人関係でも苦労する事があります。
ただ実直に接しているのに、ない腹を探られます。裏がないという発想を持てない人は意外に多くいます。そのような人は素直な発想を理解出来ないので、「とてつもなく腹黒い」「想像に及ばないほどの策略家」と判断し、一体何を企んでいるんだ!と警戒しはじめます。
逆のパターンもあります。
素直な事を単純と解釈し、単純=知能が高くないと勝手に判断します。その結果、バカにされる事もありえます。
周囲に恵まれていればこのような事態は少ないでしょうが、全くないという事はないはずです。
数少ないこのたぐいの感覚を持つ人達は、このような経験を繰り返す事で傷つき、恐怖を抱え、自分の良さから目をそらし不自由に生きて行く場合もあります。自分の心が汚いからこんなに生きづらいのだと自己認識を違え悩み続ける人もいます。
そんな中、友野選手は自分を受け入れ、みんなと一緒に楽しむ事を目指しながらも成長するための努力を全力で続けているわけです。その強さすらも綺麗です。
これは、友野選手の演技で発せられる感覚から私が見えたものです。
ただ楽しいだけではない、技術が高いだけでもない、このすごさと感動は、このような感覚が元になっているのだと私は感じています。
送信型
内から何かを発するのか、外部から受け取るのタイプなのかでいえば、友野選手はエネルギーを発し与えてくれる送信型です。
フィギュアスケートで例を出すと
- 演技により自分を表現する(解釈の表現も含みます)のが送信型
- 曲と完全に一体になりそれを表現するのが受信型
です。
友野選手は送信型だけれども、発する気質は暖かくてやさしいもの。核自体もそんなに主張してこない、おだやかな送信型のように思います。
核が主張しないのは、みんなと一体になって(溶け込んで)楽しみたいからだと思います。
やりたい事、ゾーンに入れるようになる事と感覚が一致しているという事は、魂が求めている事が実現出来ているから。
友野選手がフィギュアスケートを求めているだけでなく。フィギュアスケートが彼を求めているのでは、と感じる事がありますよね。
これが、魂のありのままに生きている人に起きる現象でもあります。
人のために生きる魂
人のために何かをしよう、したい、と思った時にエネルギーが湧き上がってくるタイプの魂の持ち主と感じます。
フィギュアスケートで例を出せば、
どこまで演技を究められるか、技術を身に付けられるのかと、ストイックに自分を高める事にやる気を感じるのが「自分のための魂」
いい演技を観てもらって幸せになってもらいたい、期待に答えたいと思い、それでやる気が出て練習を重ね技術を磨いていくのが「人のための魂」
友野選手は後者ですよね。
自分の演技でみんなに楽しんでほしい、幸せな気分になってほしい。一体になった会場の中心にいるのは自分でも、主役は盛り上がっている観客のみんな。
それを実現させる事が友野選手の喜びであり幸せ、そのための努力はいとわないと思えるくらい底力も湧いてくるはずです。
観ている側は演技で楽しさを受取り、友野選手は楽しんでいる観客を感じ、ますます調子が良くなりさらに力を発揮してくれる。それを観た観客はもっと気持ちが盛り上がり、その熱がステージに伝わっていく。その感じた熱で、もっと演技に力が入る。
そんな最高の感覚の循環が出来上がった時の友野選手は本当に強いです。
私が彼の演技にどハマりしているのは、2018年の世界選手権でそれを目の当たりにしたからです。
ロボットダンスが印象的なDaft Punk、荒ぶるトランぺッターをイメージしたというFreaksでもその圧巻の強さで魅せてくれました。
そのような魂を持つタイプの人は、「周囲を気にせずに自分のやりたいようにやって」と言われると目的を失うので、力が発揮しづらくなるようです。
Freaksでの町田樹さんの
『彼はオーディエンスに伝えようとする意志が前に前に出てくる、その意思によって力強さが生まれてくるスケーターですよね』
という解説は、そのものズバリだと思いました。
アップテンポで激しく、少しコミカルな要素が入った振り付けはハマるし観客との気持ちの循環も生まれやすい。佐藤操さんの振り付けはそんな彼にぴったりだと思います。
第3チャクラが優勢
友野選手の優勢チャクラは第3チャクラだと感じています。
この場所は、感情が湧き上がる最初の場所で、その後ハートチャクラと言われる第4チャクラへエネルギーが移動していきます。
とにかく楽しみたい、純粋に喜びというものを感じたいという彼の姿勢と一致する場所だと思います。
2019年全日本「ムーラン・ルージュ」
2018年は得点も思うように伸びず、ご本人もつらい時期を過ごされていたようです。
それを一掃したのが、2019年12月の全日本フィギュアスケート選手権での「ムーラン・ルージュ」ではないでしょうか。
4回転ジャンプに2回共成功し、曲が始まって1分15秒あたりの、急に曲調が変わる部分、その時にポーズを決めた時の表情が明らかに今までと違いました。
友野選手はこの時の演技で「光が見えた」と発言されていましたね。
その光を確信出来たからこその表情かもしれません。
とにかく、これは何かある!と思いました。
この試合では、友野選手の本来の良さや強さが発揮されていました。
この演技が始まる前に、
振り付けを担当したミーシャ・ジーさんが『一希の気持ちを後押しするような、力強いプログラムにした』と振り付けの時に伝えたと、そのようなエピソードが紹介されていました。
佐藤操さんの振り付けは友野選手に本当にハマるけれど、可能性を広げるために、得意な物に偏らないようにしていたのかなと思いました。その成果がこれから発揮されるのだと、それを予想しての発言かもしれません。
捻くれる事を知らないこの感覚は、つらさが人一倍ダイレクトに心に直撃する代わりに、嬉しさや楽しさもストレートに感じるはずです。
演技が終わった後の涙も、今までのつらさと乗り越えた喜びであふれてきたものだろうなと思いました。
全日本が終って、その後のインカレ優勝。
宇野昌磨選手の代打での四大陸選手権出場と、楽しそうに活躍されている姿を観られて私も幸せでした。
↑ この写真の時点で21歳。なんという若見え!
まとめ
22歳のお誕生日おめでとうございます。
友野選手の演技で世界中の観客が楽しく盛り上がれる日が再びくるのを心待ちにしています。