モチベーション依存という言葉があります。
やる気・モチベーション・気力があるのは良いことですが、それに「頼る」のはお勧めできません。
私自身が、やる気に頼る怖さを体験して知っています。
今回の記事では、やる気やモチベーションに頼ることのデメリット、やる気がないのが普通という考え方について書いていきます。
やる気・モチベーション依存とは?
やる気が出ないから、出せるようにしようと思うのは、やる気依存の入り口かもしれません。
モチベーション依存とは、やる気・モチベーションがなければ成り立たない状態のことです。単純に書けば、やる気に左右されることです。
仕事や勉強、目標への行動など何かをする時に、やる気頼りになれば依存します。やる気に頼っているために、物ごとを進めていくシステムが作れません。
問題解決の手段が「やる気」「モチベーション」「気力」と信じていて、それなしでは成し得ないという思い込みも、依存の原因になります。
モチベーション依存は、認知バイアスという、思い込みや勘違いの一種です。
このバイアスにかかれば、やる気さえあれば出来るという安心感から、工夫や改善をしなくなります。結果、目標を達成できないという状態におちいります。
モチベーション依存とはどのような状態か?
やる気やモチベーションを持つのは大切なことです。気持ちのエネルギーである「気力」を多く持つことで、行動力も上がります。
気力が少ないエンパスは、「気力さえあれば」と思ってしまいがちです。
それは、「時間さえあれば」「人脈さえあれば」「○○が出来さえすれば」など、自分にないものが手にはいれば悩みが解決するという幻想と同じです。
どんなに元気な人でも、常にやる気に満ちているわけではありません。
気力あふれる日もあれば、イマイチ気が乗らない日もあります。
常にやる気がある、必要な時にモチベーションが上げられる、というのは幻想です。気力を鍛える場に居た経験からもそう言い切れます。
そのような不確定要素である「やる気」に頼れば、例えば勉強なら
- 今日はやる気があるから勉強が進んだ、
- 今日はやる気がないから頑張ったけれど勉強が進まなかった
という結果になります。
そして、自分が結果を出せないのはやる気が足りないからだと思い込み、挫折にもつながります。
「ダイエットは明日から」が、モチベーション依存の典型例です。
今日思う存分食れば、明日からはやる気を出して食事制限が出来るという思い込みです。
そして結局食べてしまって、今日はやる気が出なかったからダイエットに失敗したと思います。そして次の日もやる気が出ずに失敗するの繰り返しです。
モチベーション依存にハマるパターンは?
やる気を出すこと、気力を強くすることで常に問題が解決するわけではありません。何か改善や工夫が必要です。
マラソンのタイムを上げたいとして、気力さえあれば早く走れるわけではありません。フォームを工夫する、靴を選ぶ、筋トレをするなど他に必要なことがあります。
必要なことを知るためには、自分の今の状態を知りどうすれば良いのか考えていかなければいけません。
それを避け、モチベーションだけでどうにかしたいと思うから依存します。
つまり、自己対話をして自分を認める、許容する、という心の作業が必要になります。
自分を認められない、自信がない、けれど悪いと思うのも嫌だ。だから「やる気」のせいにしてしまおうという一種の逃げでもあります。
- 気力さえあれば何でも出来る
- やる気さえあれば努力は続けられる
この意見は、極限まで何かに挑戦したことのない人が言っている場合もあります。この意見に影響されて、やる気が全てを決めるのだと勘違いするパターンもあります。
逆に、極限まで頑張った人は自分の限界を体感しています。自分の気力は大したことがないと思っているし、やる気には限界があると知っています。
だからこそ、それを補うために何かを追加しています。それが習慣やルーティーン、システムです。
モチベーション依存のデメリット
人は、ある程度のやる気を出すことは出来ます。
ですが波があり、ずっとやる気に満ちたままというのは無理です。
「やる気」と「気力」に頼れば、満ちている状態を基本にして計画を立てます。
やる気に依存してしまえば、やる気がダウンした時に崩れます。
計画した予定をこなせなければ、やる気がない自分が悪いと思います。
それは結局、ただの根性論であって、計画の意味を成していません。
やる気があるから出来る=やる気がなければ出来ない、という意味にもなります。
出来るか出来ないかをやる気だけが左右しています。
これは、二極思考につながる考え方です。
やる気がある日は予定を順調に実行出来る、ない日は出来ない。
そして、今日はもう無理だ、もうどうにも出来ない、と思って一日を完全に無駄にします。そして「やる気さえあれば出来たのに!」と、ますますやる気に依存します。
やる気に依存しない方法
やる気が出る時もそうでない時も、それに振り回されない環境を作ることで解決できます。
やる気と気力も大切ですが、それよりももっと重要なのは
- やる気が出ない時にどうするか
- モチベーションが上がらない時に何をするか
まで含めて計画を立てて考えることです。
さらに言えば、やる気がイマイチ~普通、の状態をデフォルトと考えて、
- 日常でやるルーティーン
- やる気がある時にする特別な作業
という計画を立てると実行しやすくなります。
やる気がある時に、
- やる気がなくても出来る方法
- 頑張らなくても実行出来るルーチンやシステム
を作り上げるのがお勧めです。
最初の〇ヵ月だけやる気で乗り切ると決めて、その間に基盤や基礎を作り上げるという方法もあります。それを終えればやる気に頼らなくても出来るようにします。
やる気に頼らなければ、やる気のない日用の予定も立てられます。少ししか実行出来なくても、こんな日もあるよねと普通に過ごせます。
やる気があるから何かが出来るのではなく、何かをするからやる気が出るのが、人の脳のしくみです。
やる気に頼らなければ、とりあえずルーティーンとして行動するシステムを作ります。
集中して何かをするという「技術」を身に付けています。
まずやることを決めて習慣化している、とりあえずする作業を決めているなどです。
自分のやる気や気力をあてにしない結果、やる気がなくても行動します。
そして不思議なことに、やる気に依存していないからこそやる気になれる、という結果につながります。
やる気が大事なこともあるのでは?という疑問について
- スポーツで、この日は試合がある
- 習い事で、この日は発表会だ
- 仕事で、今日は大切な契約の日だ
など、やる気や覇気が大切な時もあります。やる気が結果にも大きく関わります。
これは、ハレとケの「ハレ」にあたります。ハレの舞台、ハレの日、などありますよね。
「ハレ」は特別な日、祭祀や行事などで、「ケ」が日常です。
これについての考え方は、ハレの日を目標にして、その日に向けて調子を整えるというものです。
技術を上げる、体調を整える、心の状態を良くしておくなどです。
そのハレの日にモチベーションが上がるのも含めて調子を整えるのを、モチベーションに依存せずにやっていきます。
まとめ
- やる気さえあれば出来るというのは、モチベーション依存であり認知バイアスの1つ
- 「ダイエットは明日から」が失敗するのはモチベーション依存だから
- やる気に頼ると、出ない日に上手くいかなくなる
- やる気がない状態を通常と考えて計画を立てる
- 限界までやってみれば、やる気に限界があるのが分かる
- やる気に頼らない方がやる気が出る