以前、自己成就予言効果について書きました。
今回の記事では、思い込みが現実になると言われているこの効果について、危機管理の方向から見て書いています。
自己成就予言効果とは?
たとえ根拠のない予言や思い込みでも、人々がその予言を信じて行動することで、結果的にその通りの現実がつくられる現象のことを指します。
予言されたことを実現するような行動を無意識に取ることで、予言通りの結果になることがあります。
思い込みによってもその効果があります。
良い思い込みをして、それが叶うように努力や行動をするのであれば良い効果が出ます。良い思い込みは自信を生み、モチベーションUPにつながるからです。
逆に悪い思い込みによって、そうなるように動いてしまえば、悪い効果が出ます。
そして思い込みが間違っていた場合は、良い思い込みでも悪いものでも、悪い結果になります。
自己成就予言効果の前提
思い込みが現実になるのなら、都合のいい思い込みをすれば良いのでは?となります。
ですが、自己成就予言効果には
- 予言内容そのものを受け入れる
- 予言成就への障害を取り除ける
という前提条件があります。
1.予言内容そのものを受け入れる
ただの都合の良い思い込みは、簡単には受け入れられません。
極端な話を書きます。
自分には気候を操る能力があり夏の晴れた日に大雪を降らす、と予言したところで、まず本人がそれを信じられません。
そこまで行かなくても、
勉強もしていない外国語をいきなり話せるようになる、
練習もしたことがない楽器を弾ける、
面接も受けていない会社に採用される、
などといった非現実なことは、予言したとしても、まず本人が信じられないので成就しません。
これを思い込んで叶った場合は、自己成就予言効果ではなく引き寄せです。なので大量の徳を失います。
2.予言成就への障害を取り除ける
予言内容そのものを受け入れるためには、予言成就への障害を取り除かなければいけません。
上の
勉強もしていない外国語をいきなり話せるようになる、の例で書けば、
外国語を話すために、勉強していないという障害を取り除かなければいけません。
つまり、外国語を話すためには、勉強をしなければいけない、ということです。
あまりにも当たり前すぎる話で、
自己成就予言効果って結局何の効果?? と思われるかもしれません。
ですが、勉強しても外国語が話せるとは限りません。
それを、話せるようになるまで勉強ができるのが、自己成就予言効果です。
自己認識の歪みで起こる危機
自己認識を違えたために、自己成就予言効果どころか危機に陥ることがあります。自分を悪くとらえていても、良くとらえていても、危機管理はできません。
自己認識が正しくなければ悪い結果になるという「しくみ」があります。意識と無意識が正しくアクセスできていないと、上手く行動できないからです。
その間違いは「自信がない」も「自信過剰」も両方です。どちらが現実化しても悪い結果につながります。
以下、何かの商売をしている場合で、自信がないパターンと自信過剰なパターンを書いてみます。
自信がないパターン
自分の商品やサービスにはそんなに価値がないと考えます。
なのでアピールポイントもなければ、効果的な使い方を伝える事もできません。
お客さんに対し、こんなものを買ってもらって申し訳ないという気持ちさえ持ちます。なので、何かサービスをしなければいけないのでは、と考えます。
そのサービスはオペラント条件付けのような、いわゆる餌付け的なものかもしれません。
安売りや値引きを繰り返してしまう場合もあります。そのようにしていけばこの店はいつか破綻します。
自信過剰なパターン
自分の商品やサービスで全ての問題が解決すると思っています。
なので、問題が解決しなければ客側が悪いと思い込みます。
1つのシステムで全てが解決するという思い込みは、心理学では「マズローのハンマー」と呼ばれています。
ハンマーしか持っていなければ、対象はすべて叩くものに見える、ということです。
例えば、石鹸しか持っていなければ洗えば全てが解決すると思います。他の解決法を知らないからです。
何もかもが、洗う対象にしか見えなくなります。石鹸を200種類も用意すれば、自分は多くの対処法を知っていて完璧だと思い込みます。
別の商品やサービスで解決出来る問題さえ、自分でなんとかしようとします。
そして自信過剰のため、反省も改善もしません。損失や失敗は隠します。自分に苦情を述べる人は排除します。
- 自分には想像出来ないようなことがあると気が付かない
- 失敗を忘れて成功だけを覚えている
- 自分が望む情報だけを信じている
ということが、自信過剰な人の考え方です。
このようにして、どんどん客が離れていき、破綻していくと考えられます。
まとめ
自己成就予言効果は、上手く使えば効果的に目標を叶えられます。