瞑想は敷居が高いというイメージがあるかもしれません。
ですがこの「慈悲の瞑想」は、瞑想の中では比較的簡単で注意点も少なく初心者向きです。
初心者向きですが、上級者にも必要な要素もあり、どなたにもおすすめのものです。
今回の記事は、とりあえず瞑想をやってみよう、簡単に始めようという趣旨で書いています。
慈悲の瞑想の手順3ステップ
瞑想はイメージほど難しくありません。簡単に手順を書きます。
- イスに座る
- ゆっくり呼吸をする
- 決まったフレーズを心の中で読み上げる
これだけです。
簡単ですよね?
たしかに、正しい座り方や姿勢、呼吸法はあります。
それはもっと突き詰めたくなった時にやっても問題ないと思います。
この方法でも、私は問題なく瞑想意識状態になります。
慈悲の瞑想3ステップの具体的な方法
イスに座る
いつもの椅子に、楽な感じに座ります。
きっちり姿勢を正すのも疲れますが、だらけ過ぎる姿勢も意外に疲れます。
ココロモチ正しい姿勢かな、程度で、普通に座ってください。
手は、机の上でもひざの上でも好きな場所においてください。とにかく楽な姿勢です。
ゆっくり呼吸をする
目は、閉じてもいいし、半眼でも良いです。
慈悲の瞑想を読み上げるのに、目を開けるかもしれません。なのでそんなにこだわらなくて大丈夫です。
呼吸も、腹式呼吸でも、胸式呼吸でも、反腹式呼吸でもかまいません。
ただ、ゆっくり落ち着いて呼吸するようにしてください。
4秒かけて息を吸い、4秒かけて息を吐くくらいのペースです。
実際にどれぐらいのスピードなのかを体感するために、数えてみてください。
「1.2.3.4」と数えながら吸い、「1.2.3.4」と数えながら吐きます。その繰り返しです。何回かやれば、4秒の呼吸がどれぐらいの長さかわかります。
もっと慣れてくれば、4秒吸って8秒で吐く、8秒吸って8秒で吐くといったペースでも瞑想ができます。
口からでも鼻からでも、楽な方で呼吸してください。
もっと瞑想をやっていきたい、他の種類のもやりたい場合は鼻から吸って鼻から出す呼吸をお勧めします。
瞑想の基本は呼吸によるものです。「呼吸の瞑想」では鼻の呼気調整を集中のために使います。なのでそれに慣れておくと、後々楽になります。
決まったフレーズを心の中で読み上げる
慈悲の瞑想には、ある程度決まったフレーズがあります。この記事でも、この先に書いています。
慈悲の瞑想がやりやすい理由は、「フレーズを使う」という部分です。フレーズを頭に思い浮かべるので、雑念が浮かぶことも比較的少なく、何をすればよいのか明確なので、初心者の方にもおすすめです。
実際に文字を読んで、読んだ後にゆっくり心で復唱するという方法もあります。
「慈悲の瞑想」の動画を流しつつ、耳でそのフレーズを聞く方法もあります。
幾度か繰り返していけば、フレーズ自体を覚えられます。フレーズを覚えれば、好きな時に気軽に始められるので便利ですね。
フレーズをどう使うかについては、この先の「慈悲の瞑想のフレーズのポイント」を参照ください。
フレーズを何度もゆっくり繰り返して、時間をかけて瞑想しても良いし、一度きりにざっと流すだけでも良いです。
その時の気分に合った方法でやっていただければと思います。
慈悲の瞑想のフレーズ
慈悲の瞑想のフレーズのポイント
慈悲の瞑想は、
自分に慈悲を与えることを一番の目的にしています。
他者への慈悲はそれが出来てからです。
自分の中に慈悲の気持ちがなければ他者に慈悲は与えられない、というのがその理由です。
なので、フレーズの最初の
「私は幸せでありますように」
あたりの「私は」「私に」「私の」の部分に違和感がなくなるまで、満たされたと感じるまで続けてください。
特に瞑想に慣れていないうちは、最初の5行の部分を繰り返して終わるぐらいにしてください。
自分で自分に慈悲をかけ、慈悲で満たされるまではそれで充分です。
そして他者への慈悲のフレーズです。
これは祈りや願いではありません。
「私の親しい生命が幸せでありますように」と願う、祈るのではなく
そのような思考が持てる練習・訓練をしています。
原始仏教では、良いことであっても願い祈るのは単なる煩悩としています。
例えばですが、
「私の親しい生命の悩み苦しみがなくなりますように」と願ったとします。頭の中では、その対象者が仕事で問題を抱えているから解決してほしいなとか何か具体的なことを思い浮かべます。
それは、相手をコントロールしたいという願いです。
その苦労は後に役立つかもしれません。本人にとって望み通りの状態かもしれません。それを勝手に奪うという願いになるかもしれません。
祈って相手に変化を与えるのではなく、
自分が他者の幸せを願えるような、嫌いな人の行く末も案じられるような、そのような精神を持つための訓練をするというのが目的です。
これを知った時、慈悲の瞑想って素晴らしいなと思いました。
慈悲の瞑想のフレーズ
以下のフレーズの、好きな部分まで使って慈悲の瞑想を行います。
慣れるまでは最後まで読み進めなくてもかまいません。最初は上の太字の部分くらいで終了するぐらいで充分です。
続けるためにも、簡単に感じる程度で終わりましょう。
日本テーラワーダ仏教協会「初期仏教の世界 慈悲の瞑想」より
私は幸せでありますように
私の悩み苦しみがなくなりますように
私の願いごとが叶えられますように
私に悟りの光が現れますように
私は幸せでありますように(3回)
私の親しい生命が幸せでありますように
私の親しい生命の悩み苦しみがなくなりますように
私の親しい生命の願いごとが叶えられますように
私の親しい生命に悟りの光が現れますように
私の親しい生命が幸せでありますように(3回)
生きとし生けるものが幸せでありますように
生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように
生きとし生けるものの願いごとが叶えられますように
生きとし生けるものに悟りの光が現れますように
生きとし生けるものが幸せでありますように(3回)
私の嫌いな生命が幸せでありますように
私の嫌いな生命の悩み苦しみがなくなりますように
私の嫌いな生命の願いごとが叶えられますように
私の嫌いな生命に悟りの光が現れますように
私を嫌っている生命が幸せでありますように
私を嫌っている生命の悩み苦しみがなくなりますように
私を嫌っている生命の願いごとが叶えられますように
私を嫌っている生命に悟りの光が現れますように
生きとし生けるものが幸せでありますように(3回)
まとめ
- 慈悲の瞑想は手軽にはじめられる
- 雑念が浮かびにくいので、慣れていなくてもやりやすい
- 慈悲の瞑想の目的は、自分へ慈悲を与えること
- 他者への慈悲は、願いではなく自分の思考の訓練
- 慈悲の瞑想のフレーズは、最初の部分のみで初めても良い
瞑想が日常で、煩悩から距離を置いた人は、いわば「浮世離れ」した状態です。
そのような人が、誰かのカウンセリングをする、人前で教えを伝えるといった「世間と融合」する時にも慈悲の瞑想を使う場合があるとききました。
慈悲の瞑想をしてから人と会うことで、寄り添う気持ちになりやすいのだそうです。