「ずるい」という気持ちを持つのはつらいことです。進んでそのような気持ちを持っているわけではないはずです。
同時に「ずるい」という気持ちを持てば運が悪くなります。不条理な目にあったとしてもです。
今回の記事では、「ずるい」という気持ちが湧く3つのパターンとそれぞれの対処法、運が悪くなる理由について書いていきます。
ずるいという気持ちは単純に嫌なことで損しかないので離れることをお勧めしています。
「ずるい」という気持ちの正体は?
「ずるい」の意味は?
ずる・い【×狡い】
自分の利益を得たりするために、要領よく振る舞うさま。また、そういう性質であるさま。悪賢い。こすい。
goo辞書
不当に得をする、楽をして利益を得るなど、苦労せずに良い思いをしている人に対する感情です。
「ずるい」という気持ちの正体
自分が得られるはずのものをその権利がない人に奪われた、自分の運を横取りされたという悔しい気持ちです。
例えば
- 行列に並んでいて、あと少しで順番が来る時に自分の前に横入りされた
- 自分が書いたレポートを丸写しされた
- みんなで用意した食事を、手伝いをしない人が食べつくした
- みんなで分担する仕事で、一人だけ楽なものだった
などが典型的な「ずるい」です。
自分は怒られたのに、同じことをした別の人は何も言われなかった時も「ずるい」と感じます。
抽選で当たった人に「ずるい」と思うのも、運を取られたと思うからです。
「ずるい」という気持ちの3つのパターンと対処法
1.ゼロサム思考
ずるいと思う理由
自分の権利を奪われてもいないのに「ずるい」と思います。
例えば以下のような人に対してです。
- 仕事で頑張って成功した
- コツコツ貯金して良い腕時計を買った
- 努力してダイエットに成功した
相手は何も悪いことはしていません。
それどころか、あきらめずに努力して成果を出したという「良いこと」をしています。
なのに、「成功してずるい!」「いい腕時計とか自慢して!」「痩せてずるい!」
など、嫌な気持ちが湧きあがります。
単純に恵まれた人に対し、無条件で「ずるい」という感情を持ちます。
この原因はゼロサム思考です。
ゼロサム思考は、幸せの総量は決まっているので誰かが幸せになればその分自分は不幸になるという思い込みです。
なので、良い思いをしている、恵まれている人は自分の幸せを横取りしたと感じています。なので「ずるい」と思います。
捨てるための対処法
ゼロサム思考から離れることが対処法です。
子どもの頃に誰かと比較され、「○○さんはテストで良い点だったのにあなたはダメだ」と怒られることがあります。人がほめられる=自分が怒られる関係ができています。これがゼロサム思考の原因になります。
自分ばかり我慢させられた、周囲に合わせることを強要された経験もゼロサム思考に繋がります。自分が我慢したことで周囲が良い思いをした、という関係ができているからです。
人の幸せが自分の不幸にならない、人が得をしても自分が損をするわけではないというノンゼロサム思考を癖つけていくところからはじめます。
好きでゼロサム思考をしているわけではありません。むやみに「ずるい」という気持ちを持ちたくないはずです。
これは単純な思考の癖なので、この癖を修正する練習をすれば離れられます。
2.心の制限が多い
ずるいと思う理由
「ずるい」とは、人の不正や不当な行動を許せていない気持ちでもあります。
人は、自分のことを許せる分だけ他の人のことを許せます。
たとえば自分の心の中で以下のルール・常識を持っていたとします。
- 何か手伝ってもらえば同じぐらいお返しをするべきだ
- 仕事で楽をしようとするのは悪いことだ
- 社会人になれば経済的に親に頼ってはいけない
これが正しいか正しくないかは別として、このルールから外れた人を見れば
「あの人は手伝ってもらってばかりでずるい」
「楽な仕事ばかり選んでずるい」
「実家で家にお金も入れずに暮らしていてずるい」
という気持ちが湧きます。
自分は許されないのにあの人は平気で許されている、自分がちゃんとやってきた意味がなくなる。なので、自分の頑張りの意味を奪われたという発想です。
捨てるための対処法
心の白い部分ばかりを見ずに、黒い部分を認めるのが対処法です。
心は、
- エス:(黒)本能的欲求
- 自我:(グレー)白・黒の調整役
- 超自我:(白)道徳心や理性、理想
の3種類に分かれます。この3つの内心に制限をかけているのは超自我(白い心)です。
清く正しくではないけれど、道徳心にあふれ理想を求める白い心ばかりの方が良いように思えます。ですが心の中の白い部分と黒い部分は同じ大きさ・量があります。
なので白い心ばかり追い求めれば、黒い心を無意識に抑圧します。その結果「ずるい」という黒い気持ちが湧きます。
何か問題が起きると、多くの人は超自我の制限を増やすことで問題の解決をします。努力すれば解決する、我慢すれば解決するなどです。
模範的な人になろう、立派な自分でなければ人に認められない、という考えも超自我です。
超自我の制限をなくし、エス(本能の欲求)の声を聞くことが心の自由につながります。
3.実際に不当な扱いを受けている
ずるいと思う理由
以下のような不当、不条理があったとします。
- 自分は奨学金で大学に行ったのに兄弟は学費を出してもらった
- 給料は同じなのに人の分まで仕事をさせられている
- 同じことをしても自分は怒られあの人は何も言われない
- 自分が出した成果を人に横取りされた
たしかに権利を奪われています。
ずるいと思うのは仕方がないようですが、それでも「ずるい」と思わない考え方もあります。
捨てるための考え方・生き方
まず、人生の目的は「幸せになること」という前提を持ってください。
不当なことをされた結果、ずっと不満をかかえる、腐って動かなくなるのは幸せには繋がりません。
自分を不条理に扱った相手に対し、恨みの気持ちが消えないかもしれません。ですが、あなたを不当に扱った相手はあなたを幸せに出来る力を持っていません。罪を償う、ばん回する能力もありません。
人格的にも実力的にもです。そんな力があればそもそも不当な扱いをしません。
なのでその人に罪を償わせる、幸せにしてもらう望みは捨ててください。ないものはないので仕方がありません。そんな程度の奴だと心で見下しておけばOKです。
徳とカルマの理論を当てはめれば、不条理ではなくなります。
不当な扱いをした人はカルマが溜まります。
被害を受けた人は、その不条理を乗り越えれば乗り越えた不条理分多くの徳が貯まります。徳は見えない世界のお金のようなもので、貯まるほどに良いことが起こります。
なので、頑張って乗り越えた分は後で返ってきます。
徳もカルマも同質のものを集めます。
あなたに不条理なことをした人の周囲には同じような人が集まります。いかに「ずるく」出し抜くかを競う世界が出来上がります。
そんな世界に進んでいく人とは違う道を進めばいつかは離れられます。徳の量があまりにも違えば同じ道を進めません。
不当にも負けず頑張れば、同じように前向きに頑張る人が周囲に集まります。
ですが、「ずるい」と文句を言い続ければ、「ずるい」と不満を抱える人が周囲に集まります。
その世界では何かあなたが良い思いをすれば「ずるい」と非難され足を引っ張られます。これも「ずるい」という気持ちが運を悪くする理由です。
「ずるい」という気持ちが運を悪くする理由
妬む人の末路 ‐ 悪いことが起こる理由は?という記事で、運が悪くなる理由を書いています。
- 人生の課題がくるためハードモードになる
- 悪い念を送ってしまう
- カルマが溜まる
- 心の抑圧により無意識が上手く使えない
- 行動に移さない言い訳にする
- 自分で自分に罰をあたえる
ここでは別の理由を挙げます。
不機嫌や不満の気持ちは周囲に伝染する、というものです。
それも、悪質なウィルス並みの感染力です。
不機嫌な人に八つ当たりされれば不満が溜まります。その不満を別の人にぶつけるかもしれません。
不機嫌な1人が職場で怒った場合、怒られた人はもちろんその場に居た人も嫌な気持ちになります。その内の10人が別の場所で不機嫌を振りまくかもしれません。倍々ゲームのような感染力です。
「ずるい」という不満も周囲にうつります。
「ずるい」と言われた対象に同じ感情を持ち、集団で嫉妬するようになります。何かにつけて「ずるい、ずるい」と不満ばかり言うような場がありますが、そのような感じです。
ずるいと文句を言っていれば
- 相手がずるくて悪いので、自分は「正しい」と主張出来る
- 結果が思わしくない言い訳が出来る
- 努力しない正当な理由が出来る
ような気になるからです。
一見楽なようですが、長い目で見れば損になります。
これでは運が良くなるはずがありません。
何があっても結局は幸せになったもの勝ちです。効率よく幸せに近づく方法として「ずるい」という気持ちから離れてください。
まとめ
- 「ずるい」という気持ちは、自分の権利や運を奪われていると思うから湧く
- 「ずるい」という気持ちの原因と対処法
- ゼロサム思考→人の幸せは自分の不幸にならないと知る
- 心の制限の多さ→自分の欲求を受け入れる
- 不当な扱いを受けた→徳を貯めその環境から離れる
- 「ずるい」と思うことで運が悪くなるのは
- 妬み、足を引っ張る人が周囲に集まる
- 「ずるい」不満が周囲に感染し止まらなくなる
「ずるい」という気持ちは、自分の幸せを人に明け渡すことです。
「羨(うらや)ましい」は、「いいな」「そうなりたい」という気持ちです。相手が悪い、不当な行為をしていない前提なので「ずるい」とは違うものです。