以前、砂糖依存による過食の記事を書きました。
今回は同じ糖類でも、炭水化物による過食について書いていきます。
炭水化物は糖質+食物繊維です。
ご飯やパン、麺類の主食は炭水化物を多く含みます。いも類もそうです。
炭水化物中心の食事は過食につながります。
焼きそばパンやお好み焼き定食、うどん+稲荷寿司など、ダブル炭水化物な食事も珍しくありません。気を付けなければ食べ物の多くを炭水化物で済ましてしまいます。
今回の記事では、炭水化物と過食の関係について書いていきます。
炭水化物が過食につながるのは何故?
血糖値の急上昇により過食する
甘いものがやめられない記事でも血糖値による空腹感について書きました。炭水化物でも同じことがおこります。
炭水化物ドカ食い→インシュリン過剰分泌→血糖値が急に下がり強烈な空腹感→炭水化物ドカ食い→インシュリン過剰分泌
というとまらない過食ループが起こります。
炭水化物に依存し過食する
人の体は飢餓に耐えるように出来ています。
食料が少ない中、いわゆる「太りやすいもの」を食べた方が生命を維持しやすいわけです。なのでカロリーが高く脂肪になりやすい「糖」を食べると脳が気持ち良い物質を出すような仕組みになっています。
いくらでも食べ物が手に入るようになった今でも、太りやすいものを美味しく感じます。
食べれば快楽を感じるのは「ドラッグ」と同じです。
炊きたての白いご飯に幸せを感じ、ちょっとのおかずだけでどんどん食べてしまう、
平和な光景に見えますが、脳はドーパミンという快楽物質を放出し快楽センサーを刺激し続けている状態です。
快楽にまかせてどんどん刺激し続ければセンサーは鈍くなり「もっと食べたい」と量を増やし続けます。立派な過食状態の出来上がりです。
さらに、消費者にもっと食べてもらうために「より美味しくもっと食べたくなるような」依存性の高い商品が開発され売られていきます。
栄養不足で過食する
カロリーではなく栄養素の不足です。
炭水化物でも、玄米や全粒粉ではなく、白米や精製された小麦粉は必要な栄養を削られています。なので炭水化物をエネルギーとして使うために必要なビタミンやミネラルが足りなくなります。
他のおかずで補っていれば良いのですが、そうでない場合は体が栄養不足を感じます。足りないからもっと食べろという指令を脳が出し、食べたりないとさらに食べます。
食事が炭水化物メインでタンパク質が足りずに食べ過ぎるパターンもあります。
タンパク質の摂取量で食事の満足度が変わります。タンパク質が足りないからもっと食べろと脳が指令を出しても、炭水化物を追加で食べればいつまでも満たされず食べ過ぎます。
肥満になることで満腹を感じなくなり過食する
糖はインスリンにより脂肪に変わります。内臓脂肪が高くなる、肥満気味になることで過食の原因が増えます。
簡単に書けば、脂肪細胞に脂肪が溜め込まれた時、「もっと食べろ」という信号を発信しはじめるので食欲が加速します。
脂肪細胞が太りやすくなる物質を放出しはじめます。つまり肥満によってホルモン分泌が狂った状態になるということです。
レプチンというホルモンを例に出します。
レプチンは満腹中枢を刺激するホルモンです。肥満になれば多く分泌されます。ならお腹一杯になって食べなくなるのでは?と思われるかもしれません。
ですが、レプチンが多く分泌されるとレプチン抵抗性という逆にレプチンが効かなくなる現象が起こります。
つまり、脂肪が多くなる→レプチンが増える→レプチンが増えすぎて効かなくなる→お腹が一杯にならないのでどんどん食べる→レプチンが増える
という、過食スパイラルが発生します。
炭水化物+脂質+塩の強い中毒性で過食する
脂肪と塩が追加されれば、さらに中毒性が高まります。
トーストに有塩バターを塗った方が美味しく感じます。
茹でたじゃがいもよりも、フライドポテトやポテトチップスの方が人気があります。市販のスナック菓子の多くが「炭水化物+脂質+塩」です。
外食でもハンバーガーなどのジャンクフードは大体この組み合わせです。
これはフードトラップと呼ばれているものです。
この3つをどれぐらいの割合で配合すればより脳が快楽を感じるのか、依存度が高くなるのかを研究し、商品を開発・販売しています。
人の本能を狂わせることが前提です。たくさん売れれば企業は儲かるので、食べ物で依存ビジネスをしています。
小麦粉に含まれるグルテンの強い中毒性で過食する
小麦粉は炭水化物を多く含みます。薄力粉で可食部100g当たり75.8gです。ほかの栄養成分も含まれています。その1つがタンパク質であるグルテンです。
パンがモッチリフワフワと美味しいのはこのグルテンの効果です。
より美味しくより売れるようにと、最近の小麦粉は品種改良によりグルテンの量が増えています。
グルテンアレルギーによる体調不良の問題もありますが、今回は中毒性について書きます。
グルテンは胃で分解され、その物質が脳に入れば強い快楽をもたらします。その快楽を得たいために食欲が壊れ、過食につながります。
エクソルフィンというオピオイドペプチド。 オピオイドは、ケシから採取されるアルカロイド、そこから合成された化合物、また体内に存在する内因性の化合物…
つまりモルヒネの仲間です。
ピザなんか食べた時には、炭水化物+脂質+塩でコカインのような快楽を得た後、分解さたものがモルヒネの作用とか、どこまでの快楽の洪水かといった感じです。
炭水化物の過食対策
炭水化物の依存から抜けるためには?
本能を操られているので、強い意志で炭水化物を断つというのは難しいものです。
タバコ、アルコール、ドラッグなどの物質依存症から脱却するのと同じように取り組む必要があります。
大切なのは、炭水化物から離れるだけではなく、質の悪い脂質やタンパク質も摂らないようにすることです。
炭水化物から離れてもウインナーなどの加工肉やマーガリンなどを摂っていればホルモンバランスが崩れます。過食・肥満の根本の原因はホルモンの乱れなので、過食は治りません。
健康的な食生活に変えていくことが、炭水化物依存による過食の対策です。
方法は大きく2種類あります。
徐々に健康に悪い食品から離れるか、一気に離れるかです。
1.徐々に離れる
段階1:超加工食品・ジャンクフードを摂らない
超加工食品は、すぐ食べられるように加工された日持ちのする食品です。
例:スナック菓子、菓子パン・総菜パン、カップ麺、ピザ・ホットドッグ、クッキー・パイ、ドーナツ・チキンナゲット、清涼飲料など
ハンバーガーやポテトなどのジャンクフードも避けていきます。
体に悪い炭水化物の多くはここに含まれます。
段階2:加工食品・揚げ物を避ける
加工調理されたものよりも素材そのままの方が健康に良いので、加工したものも減らしていきます。
ちくわや魚肉ソーセージよりも、煮魚や焼き魚の方が健康的です。ハンバーグよりもステーキの方が体に良いです。
低脂肪乳よりも成分無調整牛乳、100%果汁のジュースより果物そのものが良いです。
野菜も天ぷら・フライより、生や茹でるなどの簡単な調理のものにします。
段階3:精製されたものを減らす
白米よりも玄米、薄力粉よりも全粒粉、精製された砂糖よりも甘いフルーツを選ぶようにします。
精製されたものよりも血糖値の上がり方がゆるやかです。
米の代わりに蒸したじゃがいもやさつまいもを食べれば良質の炭水化物が摂れます。
いきなり玄米が食べ辛い場合は、白米に少量混ぜる、七分付きにするなどで慣れていく方法もあります。
段階4:炭水化物を減らす(適量にする)
糖質を摂る量については諸説あります。いくつか試してみて自分の体調と相談して決めるのが良いと考えています。
ですが、通常の健康的な食事と言われるものでさえ炭水化物過多です。なので今より減らすべきなのは確かです。
私の場合は、良質の炭水化物と糖質は必要と考えています。基本的に玄米を食べていて、他にフルーツが好きなので割とよく食べています。
段階1に慣れれば段階2と、少しずつ進んでいきます。段階4まで進めた時には依存からは離れられています。
2,一気に離れる
科学的な健康に関係する本をいくつか読みましたが、多くの本で推奨されている食べ物依存の脱却方法は断食・ファスティングです。
1~3日間集中して食事を抜くものもあれば、半日断食、16時間断食などを毎日行うものもあります。
狂った食欲をリセット出来る方法でもあり、味覚を修正できます。
最低限の栄養を採りながらのファスティングでも、2日も行えば「お腹がすいて力が出ない」状態になります。
力が出ないほどの空腹が本当の空腹であり、過食時の空腹は違うというのも分かります。
ファスティングも徐々に進めていく方法があります。
段階1:間食を完全にやめる
三食以外を食べるのを完全にやめます。
- 休憩時間のおやつ
- お風呂上がりのアイス
- 気分転換のために飲むカロリーのある飲み物(砂糖入りコーヒーや炭酸飲料など)
などを完全に断ち、三食以外を食べないようにします。
食事を摂る時間によっては、これで半日断食になるので、これだけで体調が良くなります。
段階2:朝食か夕食のどちらかを抜く(16時間断食)
人によってどちらが抜く方が楽なのかが違うので好きな方を抜きます。
朝7時、昼12時、夜8時に食事を摂っていたとすれば、どちらを抜いても16時間以上の断食になります。
段階3:朝・昼・夕のうち2食を抜く
一日一食にします。夕食だけを摂る人が多いようですが、人によっては朝食のみの方が向いている場合もあります。
この次に日替わり断食になりますが、断食やファスティングについては別に記事を書くので、その時にリンクを貼ります。
断食には向き不向きがあるので向かない場合はやめること。
慣れることが大切なので、今の段階が完全に平気になってから次に進むようにしてください。
個人的な実体験でいえばファスティングはとても効きます。私の病的な過食が治まったのも「空腹マニア」というファスティングのおかげです。
まとめ
- 炭水化物が過食につながる原因
- 血糖値の上下が激しいく強い空腹感におそわれる
- 炭水化物という糖への依存
- 栄養不足を空腹と勘違いする
- 肥満になりホルモンが乱れ過食する
- 炭水化物+脂質+塩の強い中毒性で過食する
- 小麦粉に含まれるグルテンの強い中毒性で過食する
- 炭水化物の過食対策は健康的な食生活をすること
- 加工食品や精製品から離れていく
- ファスティング(断食)で狂った食欲をリセットする